経済産業省調査にみる、理工系で需要が高い分野とは?

4月20日に、経済産業省が、企業や社会人を対象にした「理工系人材需給状況に関する調査」の結果を公表しました。この調査は、産業界が求める人材と大学から輩出される人材の需給ギャップの解消を図ることを目的に、産業界の人材需給状況と中長期のニーズを継続的に把握するために実施されています。今回の平成29年度調査では、社会人を対象にしたアンケートと理工系の採用を行っている企業1万社のアンケートを実施し、大卒新卒者の採用状況と今後技術者が不足する専門分野について調べました。

今回これをもとに、多くの企業の需要があると考えられる分野を紹介します。

 

企業のジャンル別で需要が高い分野は何か

調査の対象になった全職種・全業種のアンケートの結果では、機械工学(設計、エンジン、材料、流体等)とハード・ソフト(OS、アプリ)、プログラム系、会計・簿記、マーケティングなどの分野を必要とするという回答が多く寄せられました。さらにこの調査では、参加した企業の業種を8つのジャンルにわけて、それぞれ必要とする分野のアンケート結果も紹介しています。ここでは、それぞれのジャンルで特に需要が高かった分野を紹介します。

 

・技術系

機械工学(設計、エンジン、材料、流体等)

ハード・ソフト(OS、アプリ)、プログラム系

電力、アナログ・デジタル回路

 

・非技術系

会計・簿記

マーケティング

法律学

 

・機械系

機械工学(設計、エンジン、材料、流体等)

自動車工学/航空宇宙工学/船舶工学

ハード・ソフト(OS、アプリ)、プログラム系

 

・電気系

機械工学(設計、エンジン、材料、流体等)

ハード・ソフト(OS、アプリ)、プログラム系

電力、アナログ・デジタル回路

 

・材料系

機械工学(設計、エンジン、材料、流体等)

ハード・ソフト(OS、アプリ)、プログラム系

経営・生産・サービス・金融工学、リスクマネジメント

マーケティング

 

・化学系

薬理・薬物動態、臨床薬学・検査

機械工学(設計、エンジン、材料、流体等)

マーケティング

 

・情報系

ハード・ソフト(OS、アプリ)、プログラム系

通信、ネットワーク、セキュリティ系

データベース・検索系

 

・建設系

建築計画、設計、デザイン、住居

土木工学(構造・施工、海岸、地盤系)

機械工学(設計、エンジン、材料、流体等)

 

これから必要性が高まる分野とは

この調査では、5年後に技術者が不足すると予想される分野についても調べました。調査では90の分野の中から「最も不足する分野」「2番目に不足する分野」「3番目に不足する分野」を選択してもらい、分野別の割合を明らかにしています。その結果、次のジャンルが特に高い割合を示しました。

 

・機械工学(設計、エンジン、材料、流体等)12.4%

・電力、アナログ・デジタル回路 7.5%

・通信、ネットワーク、セキュリティ系 5.8%

・ハード・ソフト(OS、アプリ)、プログラム系 5.7%

・土木工学(構造・施工、海岸、地盤系) 5.5%

 

経済産業省が公表している調査資料には、企業の需要が高い分野の他に、回答者が大学で学んだ分野や学び直したいと考えている分野など、多くの情報が記載されています。この調査で示された、多くの企業から求められている分野を覚えておくと、将来の就職で役立つ可能性があります。理工系に進もうと考えている人は、今回紹介した情報を進路選びの参考にしましょう。