高まるプログラミング教育の重要性。普及に向けた取り組みも

首相官邸で2018年6月4日に行われた未来投資会議の資料「未来投資戦略2018(素案)概要」が、首相官邸のウェブサイトに掲載されました。この資料には、AI時代に対応した人材育成と最適活用を進めるための取り組みとして、大学入試において必履修科目『情報Ⅰ』を追加する方針が記載されています。この内容を受けて、情報処理分野で指導的役割を果たすために活動している一般社団法人情報処理学会は、この方針に賛同し、「情報」を大学入試で扱う必要性を述べています。

 

このように近年では情報技術の重要性が高まっており、生徒や児童のプログラミング教育を支援する取り組みも展開されています。

 

「情報」は現代社会で大切な分野

「未来投資戦略2018(素案)概要」では、経済構造革新への基盤づくりに向けた取り組みとして、「データ駆動型社会の共通インフラの整備」を掲げています。そのための人材育成の取り組みとして、大学入試で『情報Ⅰ』を必修科目に追加するほか、全ての大学生が数理・データサイエンスを履修できる環境整備や、学部・学科の縦割りを超えた「学位プログラム」の実現、IT人材のリカレント教育、兼業・副業を通じたキャリア形成促進を挙げています。

 

情報処理学会はウェブサイト上でこうした方針への賛同を表明し、「大学に進学する者は、さらに大きな進化を遂げるであろう人工知能等によって激変する情報社会に主体的に参画し、それぞれの専門知識を活かしてさまざまな問題を解決し、その発展に寄与することが求められています」として、高校教科の『情報』の内容を十分に活用できる力を持っていることが、こうした活動の必要最低限の条件であるということで、大学の入学共通テストで、高校教科『情報』に関する試験が必須とされるべきだとしています。

 

プログラミング教育を支える2つの取り組み

教育の分野で科目としての「情報」が重視される中、学校の授業以外でこの技術を磨く機会を提供する取り組みも行われています。

 

例えば、オンライン・プログラミングスクールを運営するコードキャンプは、2018年6月に小学生・中学生のためのプログラミング教室「CodeCampKIDS(コードキャンプキッズ)」のフランチャイズ(FC)展開をスタートすると発表しました。これまで直営教室で培ってきたノウハウをベースに、約300ステップ以上が用意された教材・カリキュラムによって、子どもたちがスモールステップで長期的に学べる機会を提供し、着実なレベルアップをはかります。

 

また、2018年6月には、ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム(以下WDLC)が、学校のプログラミング教育を応援する新しいプロジェクト「MakeCode×micro:bit 100プロジェクト」を始めると発表しました。このプロジェクトは、2020年には小学生のプログラミング教育が必修化、2021年には中学生を対象に実践的なプログラミング授業が始まるなどの教育拡充、2022年には高校生のプログラミング教育が必修科目になるといったICT教育の広がりを受けて、教育の現場や家庭でのICT教育につながる活動を行うために発足しました。小学校や教育委員会100団体に「micro:bit」を20個ずつ無償提供し、WDLCが開発した「プログラミング教育授業案」やサンプルコードを参考にしながら各団体で独自に授業を実施します。その模様を報告書として提出し、WDLCのウェブサイト上に公開します。現在では公募は終了していますが、プロジェクトのニュースリリースには「今後は学校関係者や教育現場の方々との連携を一層強化し、子どもたちのこれからの学びに寄与する活動を継続して行ってまいります」と記載され、この成果を今後の展開に役立てることを明らかにしています。

 

このように、情報の分野でスキルを伸ばす取り組みが広がっていますので、注目していきましょう。