学習指導要領の比較対照表が公開。改訂後に重視されているポイントとは

文部科学省の公式ウェブサイトに、高等学校学習指導要領の比較対照表が掲載されました。この資料では、現行の学習指導要領と改訂される学習指導要領の内容が、対応している教科や科目ごとに掲載され、どの点が変更されたかがすぐに確認できます。

 

文部科学省が通知した資料には、教育内容の主な改善事項として「理数教育の充実」「外国語教育の充実」「情報教育の充実」などに重点をおくと記載されています。今回はこれらの点に着目して、改訂された「数学」「理科」「外国語」「情報(各学科に共通する教科)」の各科目でどのような目標が掲げられているか、比較対照表の内容をもとに紹介します。

 

理科の学習指導要領に記載された目標

改訂された学習指導要領の理科の項目には「自然の事物・現象に関わり、理科の見方・考え方を働かせ、見通しをもって観察、実験を行うことなどを通して、自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す」という目標が記載されています。ここに書かれている内容は現行の学習指導要領の目標と似ていますが、改訂後はより具体的に、以下の内容が記載されています。

(1) 自然の事物・現象についての理解を深め、科学的に探究するために必要な観察、実験などに関する技能を身に付けるようにする。

(2)観察、実験などを行い、科学的に探究する力を養う。

(3) 自然の事物・現象に主体的に関わり、科学的に探究しようとする態度を養う。

 

数学の学習指導要領に記載された目標

数学の項目では「数学的な見方・考え方を働かせ、数学的活動を通して、数学的に考える資質・能力を次のとおり育成することを目指す」として、次の目標が記載されています。

(1)数学における基本的な概念や原理・法則を体系的に理解するとともに、事象を数学化したり、数学的に解釈したり、数学的に表現・処理したりする技能を身に付けるようにする。

(2) 数学を活用して事象を論理的に考察する力、事象の本質や他の事象との関係を認識し統合的・発展的に考察する力、数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表現する力を養う。

(3) 数学のよさを認識し積極的に数学を活用しようとする態度、粘り強く考え数学的論拠に基づいて判断しようとする態度、問題解決の過程を振り返って考察を深めたり、評価・改善したりしようとする態度や創造性の基礎を養う。

 

改訂前の目標には「数学における基本的な概念や原理・法則の体系的な理解を深め、事象を数学的に考察し表現する能力を高め、創造性の基礎を培う」「数学のよさを認識し、それらを積極的に活用して数学的論拠に基づいて判断する態度を育てる」と記載されています。改訂後の学習指導要領では、これらの要素を育むために重視する点を上記の3つの項目に分け、より具体的に記載しています。

 

外国語の学習指導要領に記載された目標

外国語の学習指導要領の目標には「外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ、外国語による聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの言語活動及びこれらを結び付けた統合的な言語活動を通して、情報や考えなどを的確に理解したり適切に表現したり伝え合ったりするコミュニケーションを図る資質・能力を次のとおり育成することを目指す」と記載されています。この目標に続けて、聞く・読む・話す・書くの4つの技能を適切に活用できるように身に付けることや、理解力や表現力を養うこと、主体的・自律的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養うことなど、目標の実現に向けて実践するポイントが3つの項目に分けて記載されています。

 

情報(各学科に共通する教科)の学習指導要領に記載された目標

学習指導要領の情報(各学科に共通する教科)も他の教科と同様に、「情報に関する科学的な見方・考え方を働かせ、情報技術を活用して問題の発見・解決を行う学習活動を通して、問題の発見・解決に向けて情報と情報技術を適切かつ効果的に活用し、情報社会に主体的に参画するための資質・能力を次のとおり育成することを目指す」という目標とともに「情報と情報技術及びこれらを活用して問題を発見・解決する方法について理解を深め技能を習得する」「情報社会と人との関わりについての理解を深める」「問題の発見・解決に向けて情報と情報技術を適切かつ効果的に活用する力を養う」「情報社会に主体的に参画する態度を養う」などの具体的な方法が記載されています。

 

比較対照表で、改訂後の学習指導要領で重視されているポイントを理解しておくと良いでしょう。