生物学の興味を育む大会「日本生物学オリンピック」とは?

文部科学省は、国立研究開発法人科学技術振興機構を通じて、国際的な科学技術コンテストに参加する若者を支援する事業を行っています。2018年7月30日に、その1つである国際生物学オリンピックに参加した生徒の成績が公表されました。71の国や地域から269名が参加した大会で、日本から参加した4名の高校生全員がメダルを獲得しました(銀メダル2名、銅メダル2名)。この大会は、国内で行われる日本生物学オリンピックで代表選考が行われます。ここではその内容を紹介します。

 

日本生物学オリンピックの目的・概要

日本生物学オリンピックは、国際生物学オリンピック日本委員会(JBO)が主催する大会です。国際生物学オリンピックの日本代表選考を兼ねると共に、高校生などの青少年に生物学の面白さや楽しさを体験してもらうことを目的に開催されています。参加資格は「20歳未満で大学などの高等教育機関に入学する前の青少年」と定められており、予選、本選、代表選抜試験と段階を経て、国際生物学オリンピックの日本代表選手を選びます。

 

日本生物学オリンピック2018の予選では理論問題による試験が出題され、通過した約80名が本選に進みます。本選は3泊4日の合宿形式で行われ、国際生物学オリンピックの実験問題を模した試験が行われるほか、研究者との語らいや参加者同士の交流など、生物学への関心を深める多彩なプログラムが盛り込まれています。本選で成績が優秀だった約15名が代表選抜試験に進めますが、国際生物学オリンピックは翌年に開催されるため、高校3年生あるいは相当する学年以上の人は進めません。日本代表選抜試験では国際生物学オリンピックと同等のレベルの論述問題などが出題され、4名の日本代表が選抜されます。

 

AO入試に活用できる可能性も

JBOによれば、日本生物学オリンピックの成績によってはAO入試などで特典を設けている大学があります。例えば東北大学(理学部生物系・数学系・地球科学系・工学部)、慶応義塾大学(理工学部・総合政策学部・環境情報学部)、大阪大学(理学部・工学部・基礎工学部)、早稲田大学(創造理工学部・先進理工学部)、広島大学(理学部生物科学科・医学部医学科・生物生産学部)などです。

 

JBOは今後について、「国際生物学オリンピックの国内選抜試験の結果や国際生物学オリンピックの世界大会での成績を大学入試の特典とする大学が増加するものと思われます」とし、大学入試の分野でも日本生物学オリンピックがさらに注目される可能性があることを示しています。JBOの公式ウェブサイトには、上記の入試で特典を設けている大学以外に、日本生物学オリンピックの募集要項や過去問題などが掲載されています。生物学に興味がある、または関心を深めたいと思う高校生はチェックしてみると良いでしょう。