文部科学省が通知。新学習指導要領実施に向けた高等学校のICT推進の取り組み

文部科学省が7月12日に「第3期教育振興基本計画を踏まえた、新学習指導要領実施に向けての学校のICT環境整備の推進について(通知)」という発表をしました。そこで公表された資料は、平成32年度から順次実施される新学習指導要領で情報教育やICT活用教育が重視されることを踏まえて、小・中・高等学校で新たに導入される学習のポイントや、ICT環境の整備方針などの情報を示しています。この資料をもとに、これからの高等学校では情報教育やICT活用教育がどのような形で取り入れられるか、みてみましょう。

 

新学習指導要領に導入される情報教育・ICT活用教育のポイント

新学習指導要領は、小学校では平成32年度、中学校は平成33年度から全面実施されます。高等学校は平成34年度から、学年進行で実施されます。公開された資料には、小・中・高等学校共通のポイントとして「情報活用能力を、言語能力と同様に『学習の基盤となる資質・能力』と位置付け」、「学校のICT環境整備とICTを活用した学習活動の充実に配慮」と記載しています。これらのポイントを実現するための方針として、新学習指導要領では、前者について「各教科等の特性を生かし、教科等横断的な視点から教育課程の編成を図る」、後者について「各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図ることに配慮する」と明記されています。

 

高等学校のポイントでは「情報科において共通必履修科目『情報Ⅰ』を新設し、全ての生徒がプログラミングのほか、ネットワーク(情報セキュリティを含む)やデータベースの基礎等について学習」と、情報教育に重点を置いたカリキュラムを設けることを示しています。また、「情報Ⅰ」で培った基礎の上に、情報システムや多様なデータを適切かつ効果的に活用し、あるいはコンテンツを創造する力を育成するために、選択科目で「情報Ⅱ」を開設します。

 

2018年度以降に進むICT環境の整備

2012年から2017年度までの第2期教育振興基本計画では、普通教室への電子黒板の設置や、3.6人あたり1台の教育用コンピュータの設置といったICT環境整備が目標に定められました。2018年以降は電子黒板を大型提示装置に名称変更し、普通教室と特別教室に設置する予定です。また、学習者用コンピュータは従来の「3.6人に1台」から「3クラスに1クラス分程度」に変更し、授業展開に応じて必要な時に「1人1台環境」を可能とする環境の実現を目指します。ほかにも、学習用ツールを学習者および指導者用コンピュータの台数分設置したり、無線LANを普通教室と特別教室に整備するなど、情報教育やICT活用教育を効率よく行うための環境整備を進める方針です。

 

タブレットPCや電子黒板などのデジタル教材は、地域・海外の学校との交流学習に活用できたり、個々の理解や関心の程度に応じた学びが構築できたり、教材の説明がわかりやすくなったりと、さまざまな効果が期待されています。