新テストにも導入が検討される情報科目。プログラミング普及を目指す地域の取り組みとは

2022年度から、「情報」の科目の1つである「情報Ⅰ」が高等学校において共通必履修科目となります。独立行政法人大学入試センターではこの「情報Ⅰ」の大学入学者選抜での位置づけについて議論が行われており、教科「情報」でのCBT(コンピューターベースの試験)を活用した試験の開発に向けて問題素案の募集を行うなど、「情報」を入試に取り入れる動きを進めています。

また、地域ではICTに関する取り組みを推進する事業が行われるなど、プログラミングを含めた情報のスキルを高める動きも進んでいます。ここでは、今後の受験と教科「情報」について、また、プログラミング教育を推進する地域の取り組みについて紹介します。

 

教科「情報」は行政分野でも重要なテーマ

大学入試センターは、文部科学省が公表した「大学入学共通テスト実施方針」を踏まえて、中長期的な視点でCBTに関する調査研究「統計理論と情報技術を用いた先端的試験技術の実証的研究」を実施しています。こうした状況の中、教科「情報」におけるCBTを活用した試験の開発に向けて、モデル問題を作成して今後の検証に活用するため、具体的な問題素案を情報関連学会の大学教員や高等学校教員から募集することを発表しました。今後、問題素案を基にモデル問題を作成し、2019年にはモデル問題を数校程度で検証します。その後は検証結果を踏まえて問題作成方針案を作成し、さらに問題素案を募集。その内容を基に試行問題を作成して10校程度で検証するなど、段階を経て問題の作成を進めます。

 

一方、総務省では地域で子供・学生、社会人、障害者、高齢者等がモノづくり、デザイン、ロボット操作、ゲーム、音楽等を楽しく学び合う中で、プログラミング等のICTに関し世代を超えて知識・経験を共有する仕組みとして、「地域ICTクラブ」を展開するための「地域におけるIoTの学び推進事業」実証事業の採択候補の公募を、2018年4月10日から5月18日にかけて行いました。自治体、NPO法人、民間企業などから86件の応募があり、19件の採択候補が選定されました。

 

「地域におけるIoTの学び推進事業」実証事業に採択された事業の例

広島県三原市は市と5つの地元企業・団体からなる「MIHARAプログラミング教育推進協議会」が、上記の実証事業に採択されたことを受けて発足しました。この協議会は全ての子供たちがICTやIoTなどのテクノロジーを通して、楽しみながら未来を切り開く力を身につけられる環境を創造することを目的に掲げ、クラブ活動を通じた商店街のにぎわい創出に資するモデルの構築(商店街のにぎわい創出に寄与するよう、プログラミングされたコミュニケーションロボットを飲食店やホテル等の店舗に設置することで、三原発のプログラミング教育の学びのモデルを確立する)を進めます。

同じく実証企業に採択された「福井県こどもプログラミング協議会」は、地域ICTクラブの組織化および総合的な支援を目的に、2018年7月に設立されました。現在は福井の特産物である越前がにをモチーフにしたロボットコンテスト「越前がにロボコン」を中心とする、福井県全域プログラミングクラブ創設プロジェクトを進めています。

 

紹介した2つの例のように、「地域におけるIoTの学び推進事業」実証事業に採択された多くの事業は、地域からプログラミングなどのICTの発展を目的とした活動を展開しています。ここで取り上げた事例は、プログラミングなどの「情報」は現在の社会で重要な分野であり、子供の教育に関しても大事な要素に位置づけられていることを示しています。