平成30年度全国学力・学習状況調査が示す中学生の長所と課題

教育政策に関する総合的な機関である国立教育政策研究所が、平成30年度全国学力・学習状況調査の結果を公開しました。公開された資料には、小学校の国語・算数・理科と中学校の国語・数学・理科の調査結果と、平均正答率を通した分析が掲載されています(国語と算数、数学の調査はAとBにわけて出題)。今回は掲載された平成30年度全国学力・学習状況調査の結果から、長所や課題として指摘された内容をお伝えします。

 

国語の調査結果と分析

中学校国語の平均正答率は、Aが76.4%、Bが61.7%でした。昨年度はAが77.8%、Bが72.7%で、どちらもやや低下しています。

 

調査結果では「話の論理的な構成や展開などに注意して聞いたり、必要に応じて質問したりする」「場面の展開や登場人物の描写に注意して読み、内容を理解する」ことはできているものの、「話合いの話題や方向を捉えて的確に話したり、全体と部分との関係に注意して相手の反応を踏まえながら話したりする」「情報を整理して内容を的確に捉える」「目的に応じて文の成分の順序や照応、構成を考えて適切な文を書く」ことに関しては課題が残ると指摘しています。

 

数学の調査結果と分析

中学校数学の平均正答率は、Aが66.6%、Bが47.6%でした。昨年度はAが65.2%。Bが48.7%です。

 

調査結果では、空間図形を扱う問題の平均正答率が高く、「球が回転体としてどのように構成されているかの理解、見取図、投影図から空間図形を読み取ることはできている」と記載しています。また、比例y=axにおける比例定数の意味を理解しているかを問う問題に関して改善がみられたことも、今回の調査の特徴に挙げています。しかしその一方、課題として、「目的に応じて式を変形する」「証明の必要性と意味の理解」「一次関数の意味の理解」「不確定な事象の起こりやすさの傾向を捉え、判断の理由を数学的な表現を用いて説明する」「事象を数学的に解釈し、問題解決の方法を数学的に説明する」「数学的な結果を事象に即して解釈することを通して、成り立つ事柄を判断し、その理由を数学的な表現を用いて説明する」という点を挙げています。

 

理科の調査結果と分析

中学校の理科の平均正答率は66.5%で、昨年度の53.5%から上昇しています。「軟体動物を指摘すること、物質を原子の記号で表すこと、植物の蒸散を指摘する」ことはできており、「習得した知識・技能を活用して、観察・実験の結果を分析して解釈する」ことが改善していると記載しています。しかし、「実験や条件制御などにおいて、自分や他者の考えを検討して改善する」「自然の事物・現象に含まれる要因を抽出して整理し、条件を制御して実験を計画する」など、依然として課題が多いことも指摘しています。

 

国立教育政策研究所の公式ウェブサイトには、状況調査で出題された問題と正答率が掲載されています。これらの情報を参考にして、苦手分野の改善に役立ててみてください。