国内から世界へ。物理の魅力に触れる大会「国際物理オリンピック」「物理チャレンジ」

文部科学省が、ポルトガルのリスボンで開催された「第49回国際物理オリンピック」で、参加した高校生全員がメダルを獲得したことを公表しました。日本の物理オリンピックの代表選考は、特定非営利活動法人物理オリンピック日本委員会が開催する大会である「物理チャレンジ」を通じて行われます。国際物理オリンピックと物理チャレンジは、物理への興味を深めたり、物理に関心を持つ若い人たちが交流を深めることなどを目的に行われています。今回は第49回国際物理オリンピックの結果を含めて、これらの大会の概要を紹介します。

 

各国の若者が集まり興味と能力を高める「国際物理オリンピック」

国際物理オリンピックは、1967年から実施されている物理の国際的なコンテストです。参加資格は20歳未満で、かつ大学などの高等教育を受けていない人とされており、各国から高校生などが参加します。第49回では、86カ国の国や地域から396名が参加しました。会期中には、各国の選抜者は理論問題や実験問題にそれぞれ5時間をかけて挑戦するほか、開催国の文化に根ざしたイベントの参加などを通して、多くの国の参加者や主催者と国際的な交流を深めます。

 

全体では、金メダルが42名に、銀メダルが69名に、銅メダルが100名に授与されました。日本の代表選手は金メダル1名、銀メダル4名と、参加した5名全員がメダルを受賞しました。

 

物理への興味を伸ばす国内の大会「物理チャレンジ」

「物理チャレンジ」は、物理の楽しさや面白さに触れられる国内の大会です。2005年の世界物理年を記念して第1回コンテストである「物理チャレンジ」が開催され、以降、毎年開催されています。20歳未満で大学などの高等教育機関に入学する前の青少年が対象で、条件を満たしていれば高校物理を履修していなくても受験できます。全国の会場で「理論問題コンテスト」と「実験課題レポート」からなる第1チャレンジを実施し、総合結果から選抜された約100名が、3泊4日の合宿形式の第2チャレンジに進みます。それぞれ5時間で行われる「理論」と「実験」のコンテストのほか、期間中には第一線科学者との対話、最先端研究施設の見学、そして参加者同士の交流ならびに物理チャレンジ・オリンピック日本委員会委員(物理学および関連する分野の研究者)と語らいを深める機会など、コンテスト以外の多彩なプログラムも織り込まれており、充実した4日間が過ごせます。

 

今回紹介した大会を含め、現在はさまざまな学習分野に関する国際的な大会と、それらの代表選考を兼ねた国内の大会が開催されています。各教科への関心を深めるきっかけに、公式ウェブサイトをチェックするなどして、参加を考えてみてはいかがでしょうか。