都道府県が進める英語力向上の取り組み「英語教育改善プラン」

文部科学省は平成28年度から毎年、都道府県ごとに設定された目標を達成するために策定する「英語教育改善プラン」の内容を、公式ウェブサイト上に公表しています。この取り組みは平成27年6月に策定された「生徒の英語力向上推進プラン」に基づくもので、英語の4技能に課題が認められたことを受けて始まりました。今回はこの「生徒の英語力向上推進プラン」の内容を紹介するとともに「英語教育改善プラン」の具体例として、平成30年度の東京都の概要を紹介します。

 

英語力向上推進プランが策定された目的

文部科学省では、生徒の英語力向上を目指し、小・中・高校を通じた先進的な取り組みや教員研修などの支援を進めてきました。しかしながら、平成26年度に全国の高校3年生約7万人を対象に英語力調査を実施したところ「書く」「話す」「聞く」「読む」の4技能全てに課題があり、「書く」「話す」に関しては特に課題が大きいことが明らかになりました。また、生徒の意識の面でも「英語が好きではない」という課題が半数を上回るなど、学習意欲に課題があることが示されました。文部科学省は、この結果や平成23年度から毎年実施してきた「英語教育実施状況調査」にみられるアンケートなどの内容を踏まえて、生徒の着実な英語力向上を図るために「生徒の英語力向上推進プラン」を策定しました。

 

平成30年度の東京都の英語教育改善プランの概要

東京都は平成26年12月に策定した「東京都長期ビジョン」の中で、「世界をリードするグローバル都市の実現」を都市戦略に掲げました。その中で、おおむね10年後までに「高校卒業段階で、日常生活に必要な英語力(英検準2級程度)を習得」させることの実現を目指しており、平成29年度は高等学校の目標値を55%、中学校の目標値を58%として取り組みを進めました。平成30年度は前年度の結果を踏まえ、高等学校の目標値を55%、中学校の目標値を58%として授業改善に取り組んでいます。

 

このように東京都教育委員会は達成に向けた目標を掲げており、前年度までの達成状況を踏まえた目標値を設定しています。例えば、授業における英語による言語活動時間の割合の目標値を、高等学校では65%、中学校では85%と掲げています。また、英語教育に携わる者に対しては、必要な英語力を身に付けさせる研修を一層充実させるとともに、外部機関との連携を図り、「話すこと」及び「聞くこと」における外国語(英語)表現の能力を評価するパフォーマンステストの実施回数を増やしたり、英語担当教員の授業における英語使用状況の目標値(高等学校100%、中学校80%)を実現させるために研修の充実や外部検定試験の受験の支援などを行います。このような形で、授業の充実と英語教育に携わる者の英語によるコミュニケーション能力や指導力の向上を図り、目標の達成を目指します。

 

「生徒の英語力向上推進プラン」や「英語教育改善プラン」に示されるように、英語は重要な教科であり、生徒の英語力の向上が大事な要素と考えられています。2020年度から実施される大学入学共通テストでも、英語の4技能を適切に評価するために、民間の資格・検定試験を活用する「大学入試英語成績提供システム」が設けられます。こうした動きから英語の重要性を改めて理解し、学習に取り組みましょう。