公立大学協会が作成する公立大学ファクトブック。近年の公立大学の傾向は

公立大学の振興と日本の高等教育、学術研究の水準の向上などを目的に情報提供や研究などを行う一般社団法人公立大学協会が、2018年8月に「公立大学ファクトブック2016」を公式ウェブサイトに掲載しました。公立大学協会が毎年掲載しているもので、現在は2010年から2016年までの内容が閲覧できます。今回はその概要に触れた上で、「公立大学ファクトブック2016」の内容からわかる公立大学の現状を紹介します。

 

さまざまな面で公立大学の状況を示す公立大学ファクトブック

公立大学ファクトブックは公立大学便覧や文部科学省学校基本調査などのデータをもとに作成されています。公立大学の設置状況や学部の系統別の設置傾向、学生数や教員数、教員1人あたりの学生数といった大学の状況を示すものから、学生の年間の生活費や卒業生の進路状況まで、さまざまな情報が項目別に掲載されています。

 

公立大学ファクトブックに紹介された2016年の公立大学の状況とは

記載された平成28年度までの公立大学数の推移によれば、平成28年度の公立大学数は88校で、平成26年度と27年度の86校から2校増加しました。

 

公立大学ファクトブックには学部の系統別の設置傾向も記載されています。全178学部のうち、もっとも多いのは「看護・保健医療・福祉関連系統」の49学部(全体の27.5%)です。次に多いのが「社会科学系統」の28学部(15.7%)。さらに「理・工学系統」の22学部(12.4%)、「人文科学系統」の21学部と続きます。「看護・保健医療・福祉関連系統」が高い割合を占める理由としては、看護師などの確保を必要としていた地方自治体が、公立大学を養成機関に位置づけたことが挙げられます。

 

近年は学校数だけでなく、学生数と教員数も増加傾向にあります。記載された平成20年からの推移をみると、学生数は131,970人(平成20年度)から150,513人(平成28年度)に、教員数は12,073人から13,294人に増加しました。平成28年度の教員1人あたりの学生数は11.3人で、9.4人の国立大学と近い水準で、19.9人の私立大学よりも教員が抱える学生数が抑えられていることを示しています。

 

2016年の公立大学ファクトブックには、他にも、公立大学が地域医療を支える役割を担っていることや、教員の女性比率が国立大学と私立大学よりも高いことなど、公立大学の特徴を示すさまざまなデータが掲載されています。公立大学の現状を知る参考にしてみてください。