「私立大学 学生生活白書2018」公開。学生が抱く教育の印象は

一般社団法人日本私立大学連盟が、「私立大学 学生生活白書2018」を公開しました。これは、2017年10月に実施した「第15回学生生活実態調査」の分析結果をとりまとめたもので、日本私立大学連盟に加盟する121大学、学生12,369人が回答し、進学目的・理由や大学生活、正課教育、不安・悩み、進路・就職、身についたことなどの学生生活の実態に関して、9章にわたって掲載されています。このうち、4章「正課教育」内の項目である「正課教育の満足度」「科目履修の時に重視する要素」「講義への希望」「教育内容・方法への期待・要望」に注目し、現在の学生が抱く私立大学の教育の印象について紹介します。

 

白書が示す「正課教育の満足度」

「正課教育の満足度」では、「大変満足」と「満足」を足した全体の割合は55.1%(男性52.4%、女性57.2%)でした。前回調査の2014年は、全体で「大変満足」と「満足」を足した割合は58.9%で、すべての項目(「教授陣」「カリキュラムの構成」「授業の内容」「ゼミなどの少人数教育」「大学の施設・設備」「授業等、正課教育全体」)で前回よりも低下しました。

 

白書が示す「科目履修の時に重視する要素」

「科目履修の時に重視する要素」では、全体で「専門的な知識が身につく」(36.4%)がもっとも高く、次に「講義の時間帯」(29.3%)が高い割合を示しました。2014年の調査結果と比べると、「専門的な知識が身につく」「資格取得に役立つ」「就職に役立つ」などといった項目でわずかに増加したものの、それ以外の「面白く楽しい授業」「卒業単位数を満たすため」「知的刺激がある」などの多くの項目で減少しました。

 

白書が示す「講義への希望」

「講義への希望」では、「板書やプレゼンテーションを工夫してほしい」が37.7%でもっとも高かったものの、2010年調査では45.8%、2014年調査では42.8%で、調査のたびに減少しています。また、次に高い割合を示した「レジュメを配布してほしい」は34.2%で、こちらは2010年の28.5%、2014年の30.3%と、調査のたびに上昇しています。2017年調査では、他にも「単位認定を緩やかにしてほしい」が25.7%、「社会問題や身近な事例を扱った授業を増やしてほしい」が18.1%と、高い割合を示しています。

 

白書が示す「教育内容・方法への期待・要望」

「教育内容・方法への期待・要望」という項目では、「多様な科目選択ができるカリキュラムにしてほしい」が31.7%でもっとも高い割合を占めました。しかし、2010年の調査は35.0%、2014年の調査は33.6%で、調査のたびに減少しています。2番目に多いのは「総合科目・学際科目など、教養科目の充実を図ってほしい」の22.0%でした。他にも「大学での学習に適応していけるように導入教育をしてほしい」が21.8%、「授業時間数または必要単位数を少なくしてほしい」が19.9%で高い割合を示しました。

 

私立大学に通う学生の現状を知るうえで、「私立大学 学生生活白書2018」は参考になるでしょう。