「話すこと」調査では方式を変更。4技能を意識した全国学力・学習状況調査の英語調査

国立教育政策研究所は、平成31年度全国学力・学習状況調査の英語調査を円滑に実施するため、平成30年5月に「聞くこと」「読むこと」「書くこと」「話すこと」を問う英語の予備調査を実施しました。また、平成31年度の英語調査の「話すこと」調査では音声録音方式の採用が決まり、事前の準備として文部科学省が各学校のICT環境を把握すると発表しています。今回は、平成31年度から変わる全国学力・学習状況調査の英語調査に関する話題として、予備調査で出題された問題や、平成31年度の調査の概要などを紹介します。

 

平成31年度調査に向けた英語予備調査の問題の内容

平成30年5月、国立教育政策研究所は、全国の公立中学校から抽出された136校の中学校第3学年の全生徒を対象に、英語予備調査を実施しました。調査問題は「聞くこと」10分、「読むこと」20分、「書くこと」15分と、口述式による「話すこと」を問う問題とアンケートで構成されました。

 

「聞くこと」のパートは放送問題で、話される英語を聞いて選択肢の中からもっとも適している絵を選ぶ問題、問題用紙に表示された絵をスピーチの内容に沿って並べ替える問題、話している人がもっとも伝えたい内容を英文の選択肢から選ぶ問題、話を聞いて自分の考えを1文以上の英語で簡潔に書く問題が出題されました。

 

「読むこと」のパートでは、英文内で欠けている単語を選択肢から選ぶ問題、英文の内容にもっとも適している絵を選択肢から選ぶ問題、ある学級の時間割の内容に合っている英文を選択肢からすべて選ぶ問題、英文の発表原稿を読んで話の流れを示すスライドを選ぶ問題、イングリッシュ・カフェという催しのホームページの一部を読んで準備すべきことを表す英文を選ぶ問題、英字新聞に投稿された中学生の意見を読んで自分の考えとその理由を書く問題が出題されました。

 

「書くこと」のパートでは、英文の中で欠けている単語を選択肢から選ぶ問題、英語での会話内の空白を指定された単語を使って成り立つように埋める問題、表に書かれた情報をもとに人物紹介する問題、外国人向けのパンフレットに掲載する日本らしいお土産の記事を30語以上の英語で書く問題が出題されました。

 

「話すこと」のパートでは、時計や遊んでいる子どものイラストなどを見て時間や子どもの数を答える問題と、自分が2人の人物と英語で会話している形で、質問に英語で答える問題が出題されました。

 

「話すこと」調査に向けたICT環境の整備

英語予備調査の「話すこと」調査では、前日に各学校に送付されたUSBメモリから調査プログラムの展開作業を行いました。しかし、平成31年度の英語調査ではWebシステムから調査プログラムをダウンロードできるよう改善を図っています。回収についても、サーバー経由で回収できるように検討しています。そのため、文部科学省は各学校がどのようなPCを使用しているか等のICT環境の把握や、事前にPCの動作確認が行えるようWebシステムを通じて「事前検証ツール」をダウンロードできるようにするなどの準備を進めています。

 

このように、国立教育政策研究所は各学校を対象に4技能にもとづく英語調査を確実に行うための準備を進めており、公式ウェブサイトには出題された問題と正答例が具体的に掲載され、平成31年度以降の英語調査の内容をイメージできます。