国立大学機能の最大化を目指す。国立大学経営改革促進事業に7つの構想が採択

文部科学省は、平成30年度国立大学改革強化推進補助金(国立大学経営改革促進事業)に採択された大学名と経営改革構想名を公表しました。この取り組みは「社会、経済が大きく変化する中、更なる国立大学改革を実行することにより、国立大学の機能を最大化し、社会の期待に応えることが必要」という考えのもとに行われ、これからの国立大学が果たすべき役割が反映されています。

 

文部科学省が進める「ガバナンス改革を通じた国立大学機能の最大化」の特徴

文部科学省は、18歳人口の大幅な減少が高等教育機関の在り方に大きな影響を及ぼす可能性があること、Society5.0(超スマート社会)に向けた「資本集約型経済」から「知識集約型経済」への変化が予想されることから「18歳人口の減少を見据えた経営力の強化(外部人材の登用や大学間連携による機能強化・エビデンスに基づく大学経営など)」「教育研究の質の向上やイノベーション創出(基礎科学力の強化や地域ニーズを踏まえた教育研究の強化など)」「3つの重点支援の枠組みなどを踏まえた更なる機能強化(大学の強み・特色を更に伸長)」などの改革を進めます。この取り組みにあたり、学長のリーダーシップによるガバナンスを強化することで、スピード感のある経営改革を実行することが必要とされています。

文部科学省が公表する「ガバナンス改革を通じた国立大学機能の最大化」という資料によると「①地域イノベーションの創出等に取り組む国立大学法人」「②世界最高水準の教育研究の展開が見込まれる国立大学法人」の実現を目指す国立大学経営改革促進事業が進められており、これら2点に基づく平成30年度国立大学改革強化推進補助金の審査が行われました。

 

国立大学経営改革促進事業に採択された大学と構想

文部科学省は各国立大学法人向けに公募を行い、19件の申請を受け付けました。審査の結果、「①地域イノベーションの創出等に取り組む国立大学法人」では2つの構想が、「②世界最高水準の教育研究の展開が見込まれる国立大学法人」では6つの構想が採択されました。そのうち1つは①と②の両方に採択されたため、合計で7つの構想が採択されました。採択された大学と経営改革構想は、次の通りです。

 

①地域イノベーションの創出等に取り組む国立大学法人

・小樽商科大学 帯広畜産大学 北見工業大学

「北海道内国立大学法人の経営改革の推進」

 

・名古屋大学(岐阜大学)

マルチ・キャンパスシステムなど新たな国立大学モデルの構築

※②にも採択

 

②世界最高水準の教育研究の展開が見込まれる国立大学法人

・東北大学

創造と変革を先導する大学 ~世界から尊敬される三十傑大学を目指して~

 

・筑波大学

学際性・国際性に秀で、体育、芸術分野を持つ総合大学としての独自性を活かし、絶えず新たな学問分野を切り拓く研究大学の実現を目指した経営改革の加速化

 

・東京大学

社会変革の駆動を実現するための安定的かつ自立的な経営基盤の獲得

 

・名古屋大学(岐阜大学)

マルチ・キャンパスシステムなど新たな国立大学モデルの構築

※①にも記載

 

・京都大学

京大流経営改革の推進~指定国立大学法人構想に基づく機能強化~

 

・九州大学

九州大学ルネッサンスプロジェクト

 

国立大学は今後の環境の変化に対応するためにこうした取り組みを進めています。