大学入学共通テストに向けた試行調査、出題のねらいとは

大学入試センターが、大学入学共通テストの導入に向けた平成30年度試行調査を、約8万4,000人(受験予定者数)の高校生を対象に実施しました。今回はこの調査について、国語と数学、英語(リーディング)、英語(リスニング)で出題された問題についてみてみます。

 

国語で出題された問題のねらい

国語の試行調査では大学入学テストにおいて問いたい「思考力・判断力・表現力」を測るため「テクストの部分を把握、精査・解釈して解答する」「テクストの全体を把握、精査・解釈して解答する」「テクストの精査・解釈に基づく考えを解答する」「テクストの精査・解釈を踏まえて発展させた自分の考えを解答する」問題が出題されました。

 

大きく5つの問題で構成され、

第1問:探求レポートを作成する想定で2つの文章を読み、記述式で解答する問題

第2問:著作権法の一部と著作権に関する表、またそれらを参考に作成されたポスター、著作権に関する文章を読み選択する問題

第3問:同じ作者による詩とエッセイから選択する問題

第4・5問:『源氏物語』の「手習」巻の一節、漢文「荘子」から、選択する問題

が、それぞれ出題されました。

 

数学で出題された問題のねらい

数学の試行調査では数学①(数学Ⅰ・数学A)と数学②(数学Ⅱ・数学B)の2つの試験が実施されました。どちらも大きく5つの問題から構成されており、後半の3問はいずれか2問を選択し、解答する内容でした。数学の試行調査ではA「日常生活や社会の問題を数理的にとらえること」「数学の事象における問題を数学的にとらえること」、B「数学を活用した問題解決に向けて、構想・見通しを立てること」、C「焦点化した問題を解決すること」、D「解決過程を振り返り、得られた結果を意味づけたり、活用したりすること」「解決過程を振り返るなどして概念を形成したり、体系化したりすること」、E「数学的な表現を用いて表現すること」の5つのねらいにもとづいて、マーク式(多肢選択式・数値解答式)と新テストにおける記述式(数式や問題解決の方略等を解答させる記述式)、自由記述式(証明など、数学的な問題解決のプロセスを表現する自由記述式)の問題が出題されています。

 

英語(リーディング)で出題された問題のねらい

英語(リーディング)の問題は大きく6問で構成され、問題文は英文で書かれて出題されました。

 

出題された問題のうち、説明文に関する問題では、

①部分の把握(テクストの部分を把握して解答する問題)

「簡単な語句や単純な文の読み取り」「平易で短いテクストの読み取り」「短い説明の読み取り」「幅広い話題を扱った英文の情報読み取り」の資質・能力

②全体の把握(テクストの全体を把握して解答する問題)

「平易でごく短い説明(視覚情報付)の概要・要点把握」「平易で短い説明の概要・要点把握」「身近な話題や馴染みのある社会的な話題に関する平易な説明などの概要・要点把握や情報の整理」「時事問題や社会問題に関する説明などの情報読み取りや概要・要点把握」

といった資質・能力を問う問題が出題されました。

 

また、物語文に関する問題では、

「全体の把握(テクストの全体を把握して解答する問題)」として「平易でごく短い物語(視覚情報付)の概要把握」「平易で短い物語の概要把握」「短い物語の概要把握」「現代小説や随筆の概要把握」の資質・能力を問う問題が出題されました。

 

英語(リスニング)で出題された問題のねらい

英語(リスニング)の問題は大きく6問で構成されており、それぞれ問題文を読み、音声を聞いて解答する形式でした。公開された資料では、リーディングの問題と同様に、説明に関する問題では「①部分の把握(音声の部分を把握して解答する問題)」と「②全体の把握(音声の全体を把握して解答する問題)」、会話・議論に関する問題では「①部分の把握(音声の部分を把握して解答する問題)」と「②全体の把握(音声の全体を把握して解答する問題)」のそれぞれの項目で、CEFRの自己評価表の段階ごとにねらいとする資質や能力が示されています。

 

大学入試センターの公式ウェブサイトでは、ほかに地理歴史、公民、理科①、理科②の問題と、問いたい資質・能力、作問のねらいとする主な「思考力・判断力・表現力」についてのイメージに関する資料が公開されていますので大学入学共通テストの参考にしてみてください。