これからの産業を支える「ディープラーニング」。エンジニア技能を認定する資格試験がスタート

日本ディープラーニング協会(以下JDLA)は、2018年9月29日に1回目のエンジニア資格試験である「JDLA Deep Learning for ENGINEER 2018」(以下E資格)を実施しました。JDLAは、ディープラーニング(コンピュータが経験したことを学習し、概念の階層を通じて世界を理解する機械学習の方式)を中心とする技術による日本の産業競争力の向上を目指す組織。E資格では、ディープラーニングを実装するエンジニアの技能を認定します。今回はディープラーニング習得の重要性や、E資格の概要などを紹介します。

 

高まるニーズに対応した技能を認定するE資格

先端IT人材へのニーズはさまざまな分野で高まっており、経済産業省が平成28年に実施した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2020年には先端IT人材が約4.8万人不足するといわれ、最先端のデータ処理技術としての機械学習、ディープラーニングの習得は今後ますます重要性が高まると考えられています。JDLAは、こうした状況を背景に、第3次AIブームの火付け役となり、急速な進歩を遂げたディープラーニングを実装する能力を持つエンジニアを認定する資格として、E資格を創設しました。E資格は、JDLA認定プログラム(高等教育機関や民間事業者が提供する教育プログラムで、JDLAが別途定める基準およびシラバスを満たすもの)を修了すると受験資格が得られます。

 

大学・大学院生のE資格受験を促進する学習プログラム

第1回のE資格の申込者の内訳は、申込者342名のうち、学生が17名でした。合格者234名で学生の合格者は少なく、将来を担う若い世代の育成が求められています。この状況を受けて、パーソルキャリアが運営するデータサイエンティスト学習プログラム「Data Ship」と先端技術分野の教育プログラム開発・運用を行うzero to oneは、JDLA認定プログラムであるzero to oneの「機械学習」「ディープラーニング」の両コースの、大学・大学院生に向けた無償提供を開始しました。オンライン学習なので時間や場所を選ばずに受講でき、すべての修了要件を満たすとE資格の受験資格が取得できます。

 

大学・大学院生の資格取得に向けたこのサービスの提供により、機械学習やディープラーニングに関心の高い学生に広く門戸を開き、若手先端IT人材の育成に貢献することが期待されます。

 

現在、AIはさまざまな場面で取り沙汰されるようになっており、エンジニアは今後の日本の産業を支える重要な人材として期待されています。進路の選択肢の一つとして考えている人はもちろんそうでない人も、若いエンジニアの育成が求められている現状を示す動きとして注目しておくと良いでしょう。