国際共同研究を牽引する機能を強化する「国際共同利用・共同研究拠点」に6拠点が認定

文部科学省は、平成30年11月13日に「国際共同利用・共同研究拠点」の認定拠点に4大学6拠点を認定しました。認定を受けた拠点は、研究人材や研究設備、ネットワークなど、国際的に卓越した研究資源を活用し、一大学の枠を超えた国際的な共同利用・共同研究体制の中核として、我が国の研究力向上に貢献することが期待されており、将来的に国内外で先進的な研究を進める拠点となる可能性があります。

 

今回はその概要と、6拠点の1つに認定された東北大学金属材料研究所が目指す研究拠点について紹介します。

 

国際共同利用・共同研究拠点の概要と背景

国際共同利用・共同研究拠点は「大学に附置される研究施設のうち、国際的な研究活動の中核としての機能を備え、学術研究の発展に特に資するもの」を条件に認定される、平成30年度に創設された制度です。

 

日本には、中核的研究拠点であり、国際的なレベルの研究を推進し、当該分野の研究の発展をリードする役割を果たしている拠点や、当該分野の国際的な連携・協力の窓口を果たしている拠点も少なくありません。しかしながら、日本の科学技術・学術の分野では、論文数の伸びが停滞し、国際的なシェア・順位が大幅に低下しているという問題を抱えています。こうした事情から、国際的にも有用かつ質の高い研究資源等を最大限活用し、国際的な共同利用・共同研究を行う拠点が「国際共同利用・共同研究拠点」として認定されます。

 

国際共同利用・共同研究拠点に認定された東北大学金属材料研究所の取り組みの特徴は

6拠点の1つに認定された東北大学金属材料研究所は、東北大学が指定国立大学法人に指定された際に重点領域の1つとして設定した、「材料科学」の分野を牽引する拠点です。優秀な海外研究者が集い、高い水準の国際的な共同研究を展開するなど、材料科学分野の中核としての役割を果たしてきました。今後は、これまで個々に共同研究を行ってきた国内外の研究機関をつなぎ、複数機関の研究者群による国際チームが、理工共創型の多面的な研究を同時並行で行える環境を構築する必要があるとされ、そのため、国内外の研究機関・産業界の橋渡しを行う「ブリッジ型共同研究プロジェクト」の新設や、国際的な共同研究を経験させる「海外研究道場」の新設、さらに海外若手研究者が滞在型共同研究を行えるように客員制度を改革したり、国際共同研究企画機能を強化したり、最先端設備の国際共同利用を促進するなどの機能強化をはかり、材料科学研究の高度化や国際的に認知される若手研究者の育成を目指します。

 

国際共同利用・共同研究拠点は、国内外の学術機関のハブとなり、国際共同研究を牽引する機能を強化し、日本の研究力の強化を担う拠点としての役割が期待され、認定された拠点は質の高い研究資源の活用を通して、若手研究者の研究能力と国際認知度の向上など、研究の発展を国内外で牽引する取り組みを進めます。認定された4大学6拠点の取り組みを詳しく調べると、国内外での研究をリードする役割が期待されている大学が持つ研究資源と目指す方向性がわかるでしょう。