東京都が「児童・生徒の学力向上を図るための調査」を実施。小学5年生の苦手分野は

東京都教育委員会が、2018年10月に「児童・生徒の学力向上を図るための調査」の結果を発表しました。ここでは小学校第5学年を対象に行われた調査の結果に着目し、国語・算数・社会・理科の4教科の正答率と、それぞれの教科で学力の定着が不十分な問題例をお伝えします。

 

課題を明らかにし、学力の向上に活かす調査

「児童・生徒の学力向上を図るための調査」は、東京都教育委員会が小学校第5学年に在籍する児童と、中学校第2学年に在籍する生徒すべてを対象に毎年行っている調査で、一人一人の児童・生徒の学習の達成状況や誤答の傾向等を把握し、個に応じた指導を行うなどして確かな学力を育む、という目的があります。

 

小学校第5学年を対象にした調査では、国語、社会、算数、理科の教科に関する調査(教科の内容・読み解く力)と児童・生徒質問紙調査(学習や生活に関する意識や生活習慣など)、そして学校を対象にした学校質問紙調査が行われました。

 

調査結果が示す各教科の課題

教科に関する調査のうち、国語の正答率は66.5%でした。そのうち「書く能力」を問う問題は39.8%と特に正答率が低く、この課題に対応した復習のポイントとして「文と文のつながり方に気を付けて、文を付け足して、文章を組み立てること」、「書きたいことが分かりやすく伝わるように、よりよい表現に書き直すこと」という方法を挙げています。

 

社会の正答率は70.2%でした。中でも「意図や背景、理由を理解・解釈・推論して解決する力」に関する問題は52.9%と低く、この点について出題された「Cさんが訪問先を選んだ理由について推論することができる」かと「家庭に確実に水が届いている理由について推論することができる」かを問う問題の復習のポイントとして、それぞれの理由について推論できるようにすることを挙げました。

 

算数の正答率は53.8%でした。算数では「意図や背景、理由を理解・解釈・推論して解決する力」に関する問題の正答率が21.1%と低く、中でも正答率が特に低かった「カレンダーとうるう年について読み取ったことを基に、問題を解決することができる」かを問う問題では「カレンダーとうるう年について読み取ったことを基にして問題を解決すること」と復習のポイントを紹介しています。

 

理科の正答率は70.4%でした。理科でも「意図や背景、理由を理解・解釈・推論して解決する力」に関する問題の正答率が59.1%ともっとも低く、その中でも「回路のつなぎ方によるおもちゃの違いを理解し、適切な条件を考えることができる」かを問う問題の正答率が特に低く、問われている点について考えることを復習のポイントに挙げています。

 

東京都教育委員会が公表している資料には、ここで紹介した内容のほかにも、各教科の問題ごとの結果分析と授業改善のポイント、また各教科の問題ごとの正答率一覧と復習のポイントなど、学習に活用できる情報が掲載されているので、参考にしてみてください。