日本数学検定協会の認識が示す、現在の数学の重要性

数学や算数の検定を実施する日本数学検定協会は、2020年度から実施される予定の「大学入学共通テスト」の一部問題で部分的に記述式が採用されることに関連して、2018年1月に、同協会が記述式を重要視する理由を発表しました。

 

また、2018年12月には、日本経済団体連合会(以下、経団連)の「今後の採用と大学教育に関する提案」を受けて同協会の見解を発表し、その中でも「記述式・論述式」問題の出題を重視している理由に触れています。ここではそれらをもとに、数学の重要性をお伝えします。

 

日本数学検定協会が示す記述式の問題が重要な理由

日本数学検定協会は「数学を理解し、使えるようになるということは、金融・情報・AI・工学・技術・流通・サービスなど、文系理系を問わず、さまざまな分野の発展に寄与する人材の育成につながります。また、数学的に考えることによって、他者との情報・意見交換が正確に行えるようになるということは、社会の中でとくに役立つ技能となります」と数学の役割に触れ、さらに「数学の学びを通して、知識や技能を習得するだけでなく、それらを活用して問題を解決したり、新しい知識や技能を導き出したりする過程で、『考える』ことの質を高めていくことが大切です。このため、記述することは必要不可欠であると考えています」と、記述式の重要性について言及しています。

 

また、「記述式」を重んじる理由として、

・条件から結論を導くための筋道を記述することによって、情報を整理し、条件を導き出し、正確に伝える力を身につけられる

・考えたこと、その過程や結果を記述することによって、考えがどこまで到達したかを確認でき、よりよい考えや説明の仕方を導くきっかけをみつけられる

・考え方を記述し振り返ることにより、数学的な考え方は一通りではないことが分かり、社会のさまざまな問題を解決する場合にも考え方は1つではないことが理解でき、物事を多面的に見る力を高めることができる

・新しい知識や技能を導く過程で、その意味や手順を記述することによって、それらの知識・技能をよりよく習得することができる

・自らの考えを記述して第三者に伝えることは、社会生活においても重要なことであり、数学の学びを通してその基礎的な技能を身につけることができる

という5つを挙げています。

 

経団連の発表を受けて数学の重要性を強調

経団連が2018年12月に発表した「今後の採用と大学教育に関する提案」では「『文系・理系を問わず、文章や情報を正確に読み解く力、外部に対し自らの考えや意思を的確に表現し、論理的に説明する力』とともに、『ビッグデータやAIなどを使いこなすために情報科学や数学・統計の基礎知識も必要不可欠』」としており、さらに大学入試においては「原則として、文系でも数学を、また理系でも国語を課すことを検討すべき」であると謳っています。

 

これを受けて発表した「学びの基盤に数学を」で、日本数学検定協会はこれらの提案を重要であるとし、同協会が、学習者の『思考力・判断力・表現力』を育み、着実に数学の技能を身につけるため、『実用数学技能検定』(数学検定・算数検定)で『記述式・論述式』問題の出題を重視して数学技能、数学力の評価にかかわってきたこと伝えています。

 

これらの発表で、今後の社会における数学の役割や重要性を改めて認識し、数学の勉強に向き合うと良いでしょう。