専門的職業人の育成を目指すスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール。新規指定校の取り組み例を紹介

文部科学省は、社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するために、先進的で卓越した取り組みを行う専門高校等を「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)」に指定して研究開発などを進める取り組みを平成26年度から実施しています。平成30年度には新規指定校として、全国の47校の募集の中から8校が指定されました。

 

外部との連携を強化して高度な知識や技能の習得を目指すSPH

SPHは「専門高校等において、大学・研究機関・企業等との連携の強化等により、社会の変化や産業の動向等に対応した、高度な知識・技能を身に付け、社会の第一線で活躍できる専門的職業人の育成を図る」ことを目的にした取り組みです。農業・工業・商業・水産・家庭・看護・情報・福祉といった分野の専門高校(専攻科を含む)が対象で、指定校は特色のあるカリキュラムや技術研究開発などを、大学や企業、研究機関などと連携して進めます。この取り組みを通して、生徒は高度な技術・技能を習得したり、高度な資格を取得したりするといった形で、知識・技能を身に付けます。文部科学省は指定した学校に対して3年(最大5年)の指定期間中に指導や助言を行い、取り組みを評価します。

 

平成30年度にSPHに指定された学校のプロジェクトの例

平成30年度にSPHに指定された千葉県立一宮商業高等学校では、一宮町の観光の学びの教育のモデルを作成し、5つのユニットに分けて進めます。具体的には、

・地域の伝統文化に触れたり現在の特徴や課題を投げかけるなどの学習を行う「観光・地域ビジネスユニット」

・外国人観光客の困りごとの解決や支援ができるほどのコミュニケーション能力を育成する「国際交流ユニット」

・観光ビジネスへの興味と関心を深め、高校生版DMO(Destination Management Organization 行政や地域との連携を軸にしながら外房地域の多様な関係者を巻き込み、科学的アプローチを取り入れた観光地域づくりを行う組織)への理解を深める「DMOユニット」

・地域の観光資源や歴史的にPRしたいことを調査して観光アプリを開発したりプレゼンテーションソフトを使った効果的な発表方法と資料作成の技術を学ぶ「観光コンテンツユニット」

・観光マーケティングに関する講演を通じて地域観光ビジネスについての理解を深める「観光マーケティングユニット」

という内容です。

 

同じく平成30年度にSPHに指定された熊本県立熊本工業高等学校では、災害対応型エンジニアを育成する教育プログラムの開発に産学官協働で取り組み、「インフラ復旧に貢献できる力を備えた人材」「新耐震建築の構造を理解し復興に寄与できる力を備えた人材」「居住空間のコミュニティ促進に貢献できる力を備えた人材」の育成を目指します。

 

SPHに指定された専門高校等は、テーマとして掲げた課題の解決や、それぞれの分野で現在必要とされる人材の育成に取り組んでいます。専門高校等に進学し、社会で活躍できる知識や技能を磨きたい場合は、SPH指定校の取り組みを進路を決める参考にしてみると良いでしょう。