文部科学省が法曹コースを新設。短期間で司法試験が受験できるカリキュラムの内容とは

文部科学省が、法学部と法科大学院との一貫教育を目指す新しい制度である「法曹コース」の開設を認定することを発表しました。法曹コースでは、法学部と法科大学院が連携して一貫的な教育を行い、司法試験の受験までにかかる時間を短縮できます。

 

東北大学では、2017年度から「法曹志望コース」という制度を設けており、法学部と法科大学院での5年一貫教育を実現しています。ここでは法曹コースの概要をお伝えした上で、既に行われている短期間で司法試験が受験できるカリキュラムの例として、東北大学の法曹志望コースのカリキュラムを紹介します。

 

短期間で司法試験の受験資格が得られる法曹コース

法曹コースは、授与する学位が法学に関する分野である学部で開設可能で、法科大学院との間で「法曹養成連携協定」という協定を締結すると開設できます。文部科学大臣から認定を受けると、法曹コース出身者を対象にした法学既修者認定の対象となり、コースの学生は法科大学院に進むための特別選抜を行います。この特別選抜は、法曹コースでの成績と面接、法律科目の論文式試験等の内容から総合的に判断されます。

 

選抜の方法には法律基本科目の論文式試験を課す「開放型選抜」と、論文試験を課さない「5年一貫型教育選抜」があります。協定先の法曹コースとの連続性を重視した選抜を実施する場合には「5年一貫型教育選抜」が課せられます。法科大学院の定員の2分の1までを特別選抜枠にすることが可能で、さらに「5年一貫型教育選抜」の上限は法科大学院の定員の4分の1までと定められています。

 

法曹コースでは早期卒業制度を活用することで3年で法科大学院に進むことが可能で、法科大学院も含めて5年で司法試験を受験できます。

 

3年で法科大学院への進学を可能にする東北大学の法曹志望コース

東北大学法学部の法曹志望コースは、法学部の学生の中で法曹を目指す人を対象に、体系的な教育プログラムの提供を目的としたコースです。また、希望者には法学部の早期卒業制度および法科大学院の飛び入学制度を利用して、法科大学院既修者コースと連携した5年一貫教育を行っています。このコースでは1年次に18単位、2年次に30単位、3年次に26~42単位を履修して早期卒業制度と飛び入学制度に必要な単位を修得し、法科大学院に進みます。

 

大阪大学法学部が法曹コースの新設を発表したり、神戸大学の法科大学院が法科大学院を廃止した他の大学と教育連携協定を結ぶなど、様々な大学が法曹コースの制度化に向けた取り組みを行っています。これまで司法試験の受験に必要だった時間と費用の負担を軽減できる制度なので、法曹分野に興味を持っている人は参考にすると良いでしょう。