高校で導入が進むアクティブラーニング。文部科学省も実践研究を推進

リクルート進学総研が行った高校教育改革に関する調査から、多くの高校がアクティブラーニング型授業を導入していることや、大学入学共通テストの対策としてアクティブラーニング型授業を増やすと回答している学校が半数以上にのぼることが示されました。

 

文部科学省も効果的な学習・指導方法の開発などの目的で「教科等の本質的な学びを踏まえたアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善のための実践研究」という取り組みを都道府県教育委員会等に委託して進めています。ここではアクティブラーニングが高校の学習で重要視されていることを表す事例として、リクルート進学総研の調査を紹介します。また、文部科学省の取り組みの具体例として、4校の高等学校を対象に行う北海道教育委員会の研究の概要をお伝えします。

 

9割以上の高校がアクティブラーニング型授業を導入していると回答

アクティブラーニングとは参加者が中心となって進める学修を指す言葉で、プレゼンテーションやフィールドワークなどがアクティブラーニングに該当します。

 

リクルートマーケティングパートナーズが運営するリクルート進学総研は2018年10月に、全国の全日制高校4703校を対象に、高大接続改革、新しい学習指導要領、キャリア教育、進路指導、学校改革に関する取り組みについての調査を行い、1203件の回答をまとめました。この調査のうち、アクティブラーニング型授業の導入状況に関する項目では、90.4%の高校が「アクティブラーニング型授業」を導入していると回答しました。導入の度合いについても、「学校全体で組織的に取り組んでいる」と回答した割合が29.3%を占めており、2014年の調査での8.7%、2016年の24.5%から増加しています。

 

また、2020年度からセンター試験に代わって導入される「大学入学共通テスト」に関する項目では、93.8%の学校が「大学入学共通テスト」の対策を実施・検討していると回答し、対策の内容では「アクティブラーニング型授業を増やす」という回答が64.6%ともっとも高い割合を示しました。

 

北海道教育委員会が実施するアクティブラーニングの視点に立った研究の概要

文部科学省の「教科等の本質的な学びを踏まえたアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善のための実践研究」の平成30年度実施地域に選ばれた北海道教育委員会は、道内の高等学校4校を拠点として、生徒の学習方法の改善につながる主体的・対話的で深い学びの視点からの指導方法の確立と、この研究内容をより充実させるための指定校間の連携、さらに遠隔システムを活用した他の圏域との交流体制の構築などを進めます。

 

具体的には、生徒に身につけさせたい資質・能力を明確にした上で、学校全体の指導方法の改善に取り組むための校内体制のあり方について研究したり、アクティブラーニングの視点からの指導方法と、思考力・判断力・表現力の評価方法について研究したり、様々な地域や学校規模などの条件に応じて実践できるように圏域内の各指定校の日常的な連携のあり方について研究するなどの活動を実施します。

 

今回紹介した調査の結果や文部科学省の取り組みが示すように、アクティブラーニングは受験対策や本質的な学びを実現できる方法として重要視されており、導入が進んでいます。