学習者用デジタル教科書が制度化。その特徴とは

平成31年4月1日から施行される学校教育法等の一部を改正する法律等によって、学習者用デジタル教科書が制度化されることになりました。この制度化は令和2年度から実施される新学習指導要領を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」を意識した授業の改善や、特別な配慮が必要な児童生徒の学習上の困難を軽減することが目的で、必要に応じて学習者用デジタル教科書を併用できるようになります。ここでは児童や生徒も使えるようになるデジタル教科書に注目し、制度の概要やメリット等をお伝えします。

 

学習者用デジタル教科書の制度化の概要

改正された学校教育法等では、学習者用デジタル教科書について「児童生徒の教育の充実を図るため必要があると認められる教育課程の一部において、紙の教科書に代えて学習者用デジタル教科書を使用できる」と定めています。

教育の充実化を図ることが目的であり、紙の教科書に代えてデジタル教科書を使用する際の基準として、紙の教科書の代わりに学習者用デジタル教科書を使用する授業は、各教科等の授業時数の2分の1に満たないようにすることが定められています。他にも「児童生徒がそれぞれ紙の教科書を使用できるようにしておくこと」「児童生徒がそれぞれのコンピュータにおいて学習者用デジタル教科書を使用すること」「採光・照明等に関し児童生徒の健康保護の観点から適切な配慮がなされていること」「コンピュータ等の故障により学習に支障が生じないよう適切な配慮がなされていること」「学習者用デジタル教科書を使用した指導方法の効果を把握し、その改善に努めること」等といった要件が挙げられています。

 

学習者用デジタル教科書の特徴

この制度化において、「学習者用デジタル教科書」は「紙の教科書の発行者が、紙の教科書の内容を全て記録(ただし、デジタル化に伴い必要となる変更は可能)」したものであることが要件とされています。その特徴として、拡大縮小、ハイライト、共有、反転、リフロー、音声読み上げ、総ルビ、検索、保存等といった機能を活かして教育活動が一層充実することが期待されています。さらに、他のデジタル教材と連携したり一体的に使用したりすることで、理解しやすい授業や効率的な授業の実現が期待されています。例えば、英語の発音チェックができたり、算数や数学の授業で立体図形の展開や回転が立体的に示されたり、音声や動画を活用した、よりわかりやすい授業が可能になるでしょう。