小中学校への携帯電話・スマホ持ち込みに関する方針はどうなる?

 

今までは原則的に小中学校への携帯電話・スマホ持ち込みに関しては制限がかかっており、学校へ持ち込んではいけないことになっていました。

 

しかし最近この指針が見直されることが発表され、今後、小中学校への携帯電話・スマホ持ち込みの原則が大きく変わる可能性が出てきています。

 

柴山昌彦文部科学相は2月19日の会見で、公立の小中学校に通う子どもたちが原則携帯電話・スマホの持ち込みが禁止になっている指針を見直す方針を明らかにしました。その表明を受け、教育現場では論議が巻き起こっています。

携帯電話・スマホ持ち込みに対する学校の現状を確認していきましょう。

 

 

学校への携帯電話・スマホ持ち込みは、IT化する社会にとって必要という意見も

 

携帯電話・スマホを学校内に持ち込むことで子どもたちが授業に集中できなくなるという懸念から否定的な意見がある一方、同程度の肯定派も存在しているのです。

 

IT化が進む昨今、子ども向けのプログラミング教室やIT技術に触れられるイベントは軒並み増え続け、公立の小中学校でもプログラミングの授業に向けての準備が進んでいます。

それにも関わらず、子どもたちの一番身近なITツールである携帯電話・スマホを学校に持ち込むことを禁止にするのはおかしい、というのが肯定派の意見のようです。

 

日本で行われる一般的な授業では先生が黒板に板書して、それを子どもたちが書き写しますが、海外では学校のタブレットや個人のスマホを同期しながら授業を進めることも珍しくありません。

 

 

災害時の子どもの安全確保のために携帯電話・スマホが必要

 

小中学校でのスマホ解禁への流れの背景には、災害時やトラブル時の子どもの安否確認をできるようにするという目的もあります。

 

日本は地震をはじめ自然災害の多い国ですので、万が一に備え子どもにスマホを持たせたい保護者の方も多いです。例えば大阪北部地震が起きた時には「子どもとの連絡が取れない」といった声も上がりました。

学校への携帯電話・スマホの持ち込みが許可されるようになれば、連絡が取れない時でもGPS機能で子どもの位置を知ることができるようになります。

 

 

携帯電話・スマホの持ち込みによって生じるトラブルも

携帯電話・スマホが子どもにとって身近になり便利でもある反面、そのリスクや使い方を充分に把握していないまま使用しトラブルになる可能性もあります。

 

小中学校への携帯電話・スマホ持ち込みを原則的に許可し、もし授業中の使用まで認めてしまうとなると、以下の問題をどうしていくか検討する必要がでてきます。

 

・動画拡散によるいじめの助長

いじめの様子をインターネットにアップしたり、誰かの不利益になるような動画を拡散したり、ネットリテラシーを習得していない子どもたちが増長した行動を取ってしまう可能性が高いと思われます。実際に、とある小学生が視聴者を挑発する動画をアップし問題になったことがあります。

 

インターネットに対する正しい知識や、道徳的な教育を子どもたちに徹底する必要があるでしょう。

 

・授業に集中しなくなる

小中学校への携帯電話・スマホの持ち込みをを許可してしまうと、教科書や机の中に隠しながら携帯電話・スマホを使い続け、授業自体を真面目に受けようとしない子どもが出てくることが考えられます。

 

個人のプライバシーの問題や、公共の場(この場合は学校の授業中)での使用の仕方を子どもたち自らに考えさせる機会を持った方が良いでしょう。

 

・携帯電話・スマホの有無によるいじめの発生

携帯電話・スマホを持っているかいないか、による格差やいじめの発生も考慮する必要があります。携帯電話・スマホを持っていない子どもが友達の輪に入れなかったり、家庭の事情で携帯電話・スマホを持てない子どもが引け目を感じたりしてしまうかもしれません。

これらはあくまで推測の域ではありますが、「携帯電話・スマホを持っていない子どもがいじめられそう」といった心配の声が、保護者や教師の間には少なからずあるようです。

 

 

情報化社会と学校教育のバランスが課題

世界は情報化社会になってきています。この現状を踏まえた上で、学校教育とどうバランスを取っていくのかが今後の課題となります。

 

学校での携帯電話・スマホの持ち込み解禁と共に、古い考えに捉われず、新しいことに挑戦していくことの大切さも、子どもたちに伝えていけると良いのではないでしょうか。