母は出産とともに退職。就業状況はパート・アルバイトが中心

 

厚生労働省は5月15日、平成22年(2010年)から毎年実施している「21世紀出生児縦断調査(平成22年出生児)」の第8回(平成30年/2018年)の結果を公表しました。

 

この調査は、21世紀が始まった平成13年(2001年)に出生した子どもと平成22年に出生した子どもを継続的に比較対照することで、少子化対策などの資料とすることを目的にしています。なお、第8回調査で対象になる平成22年出生児は調査時点で、8歳で小学2年生です。

 

それではまず、母の就業状況の変化から見ていきましょう。母の有職率は、出産1年前の62.1%から出産半年後は35.4%に低下。出産の前後に約半数の母が離職していることが分かります。その後は年々上昇し、8年後の今回は72.1%に達しています。平成13年出生児の60.5%に比べて11.6ポイントも上回り、平成22年出生児の母の方が高い有職率を示していました。

 

ただし、母の就業状況の変化を見ると「勤め(常勤)」の割合は、第1回調査(25.1%)から第8回調査(26.2%)まで大きな変化はありません。これに対して「勤め(パート・アルバイト)」の割合は、第1回調査の5.9%から年々上昇し、今回は38.7%になっています。この結果からは、大半の母が出産後に子育てをしながら「勤め(パート・アルバイト)」で働いているという現実が見えてきます。

 

 

小学2年生(8歳)の17.9%がケータイやスマホを所持

 

次に子どもの生活の状況について見ていきましょう。まず保有の低年齢化が始まっている携帯電話(スマートフォンを含む)はどうでしょうか。平成22年出生児で携帯電話を「持たせている」割合は 17.9%。平成13年出生児と比較すると11.6ポイント高くなっています。

 

また携帯電話を「持たせ始めた時期」は、平成22年出生児では「小学1年生から」が68.8%と最も高い結果でした。平成13年出生児もほぼ同じ傾向であることから、早くから子どもに携帯電話を持たせる親では、小学校入学を境に持たせるようになったようです。

 

 

4分の1が学校以外に毎日「1時間~2時間未満」勉強

 

学校以外での1日の勉強時間ではどうでしょうか。以下は、平成22年出生児に絞った話ですが、学校以外での1日の勉強時間(宿題や学習塾等を含む)は、「30分未満」(24.1%)、「30分~1時間未満」(46.2%)、「1時間~2時間未満」(25.8%)で、小学2年生でも4分の1の児童が1日「1時間~2時間未満」勉強をしていました。

 

一方、母の家庭学習への関わりでは、勉強時間との関連性が明らかになっています。「勉強をするように言っている」という質問に「よくある」と答えた母の子どもは、「30分未満」(21.2%)、「30分~1時間未満」(46.8%)、「1時間~2時間未満」(28.4%)。

 

これに対し、「ほとんどない・まったくない」と答えた母の子どもは、「30分未満」(31.9%)、「30分~1時間未満」(42.3%)、「1時間~2時間未満」(18.5%)でした。母が勉強するように言ったほうが、子どもの勉強時間が長くなる傾向にあります。

 

このほか、「勉強する時間を決めて守らせている」「勉強を見ている」「勉強をしたか確認している」という質問でも、「よくある」と答えた母の子供の勉強時間が、「ほとんどない・まったくない」と答えた母の子どもと比べて、明らかに長くなっています。

 

 

子どもは親の鏡。保護者の読書習慣が子どもにも影響

 

読書習慣ではどうでしょうか。1か月間に子どもが読む本(児童書、絵本など)の冊数は、「2、3冊」(26.6%)、「4~7冊」(24.5%)。また、母・父の読書習慣と子どもの冊数を比べると、母・父ともに冊数が多くなれば子どもの冊数も多くなる傾向があります。親が本をよく読めば、子どもも本をよく読むようになるのです。

 

小学校低学年は、勉強や読書の習慣を付けるのに大事な時期。この結果からは、ある程度親の関与があったり、親が見本を見せたりしたほうが、勉強や読書の習慣も付きやすいことを示しています。

 

出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/27-22.html