小学校低学年からの前倒しの受験勉強は疑問

 

少子化が進む一方で、大都市圏の私立中高一貫校を中心に、その人気が高止まり。最近は、子どもが未就学の段階から中学受験の心配を始める保護者もいるそうです。

確かに私立の有名中高一貫校は、優れた大学への進学実績、私立ならではの校風、中高6年間での仲間づくりなど、公立学校に進学する場合とは異なる魅力がたくさんあります。そこで、中学受験の準備を小学校低学年から前倒しでスタートしたほうがいいのではないかという保護者もいますが、あまりおすすめできません。

 

保護者の方は、ご自身の小学校低学年時代を思い返してください。その頃から受験勉強を強いられるのは子どもにとって苦痛だと思いませんか。むしろ反発して勉強嫌いになってしまうかもしれません。

小学校低学年時代といえば、基礎体力を養う一方で、基礎学力を鍛える大切な時期。さまざまな遊びや体験を通じて身体感覚を身につけていくとともに、いわゆる「読み」「書き」「そろばん」の基礎を学び、育んでいくのが大事です。

 

中学受験に関係することでは、親が行かせたいと思う中学の学園祭などに子どもを連れて見学に行く、せいぜいその程度に留めてください。伝統校、難関校と呼ばれる中学は、それぞれに独特なムードがあり、子どもの記憶にも残るのではないでしょうか。

 

小学4年生頃から準備をスタートするのが一般的

 

それでは、中学受験の準備はいつ頃から始めればよいのでしょうか。一般に、小学3年の2月頃に入塾テストを実施し、4年生からスタートするケースが多いようです。中学受験に対応している進学塾などでも、この時期からカリキュラムを組んでいます。

 

中学受験の勉強は、学校での勉強と比べて量や内容が異なるため、4~6年生までの3年間で、基礎から実践までのカリキュラムを組んで対応しているのです。もっとも、小学4年生で塾に通うのは週2日程度ですから、受験勉強と言ってもそれほど多忙ではありません。

子どもが興味を示すなら、何か習い事を始めるのもよいかもしれませんね。例えば走ることでも、専門家に教えてもらうことで、女子でも美しいフォームでスピードにのって走れるようになります。

 

小学5年生、6年生からでも本人のヤル気次第で間に合う

 

小学4年生から受験勉強を始めることには、抵抗感がある保護者の方もいるかもしれません。そこで5年生からスタートしても合格することは可能です。塾ではカリキュラムが進んでしまっているので、当初は分からないことが多いかもしれませんが、本人のヤル気次第でまだ追いつけることでしょう。

ただし、小学6年生からスタートするのはさすがに大変です。その頃、塾では志望校対策が始まっていますから、塾での授業についていくことは難しいと言えます。それでも諦める必要はありません。それぞれの学習する力に合わせて教えてくれる家庭教師や個別指導塾などを柔軟に活用して、チャレンジしてみてください。

 

いずれにしても受験勉強は本人のヤル気が大事です。なんとなく入塾テストを受けて塾に通っても、本人のヤル気がなければ実を結ぶことはないでしょう。そのため、なぜ中学受験をするのか、なぜその中高一貫校に入りたいのか、保護者の方は本人とよく話し合っておく必要があります。漫然と受験勉強をさせて、結局実を結ばないのでは、中学入学時から子どもに敗北感を味わわせてしまいます。