人間の頭脳は朝起きて数時間しないとフル回転できない

 

どうしても夜更かししてしまうことが多い受験勉強。昔から夜遅くまで勉強する「夜型」と、夜早めに就寝し、早起きして勉強する「朝型」のどちらが有利か、という論争があります。夜型と朝型、それぞれメリットとデメリットがありますから絶対とは言えませんが、結論から言うと朝型の方が有利です。

 

理由はシンプルです。入学試験は午前9時頃から始まるのが一般的ですが、脳科学によれば、人間の脳は起きてから3時間程度しないとフル回転しないと言われています。これは経験的にもうなずけるのではないでしょうか。

夜更かしした翌日、朝の1時限目は身が入らないことがありますよね。会社にお勤めの方でも、始業してすぐは能率が上がらず、仕事がはかどり出すのは多少時間がたってからという経験はないでしょうか。

 

入試は、1点差で合否が決まることがあります。ですので、自分は朝一番の時間帯は頭がよく働かないので、1時限目の科目はそれなりに、というわけにはいきません。1時限目の科目からベストコンディションで取り組んでこそ、良い結果が期待できるのです。

 

 

朝型の勉強スタイルで生活のリズムをつかむ

 

夜型と朝型のメリットとデメリットをもう少し詳しくみていきましょう。夜型のメリットは、夜は長いので長時間勉強することができる点です。また、勉強した後に睡眠を取るので、勉強したことが定着しやすいという指摘もあります。

反対に夜型のデメリットとして、どうしても夜更かししてしまうので、翌日寝坊したり、勉強に支障をきたしたりする可能性があります。朝寝坊の毎日だと、生活のリズムも乱れがちになるでしょう。

 

一方、朝型のメリットは、朝の決まった時間に起きることで、生活のリズムがつかみやすいことです。十分な睡眠が取れていれば、クリアな頭で勉強に取り組むことができます。反対に朝型のデメリットとして、夜更かしをしてしまうと睡眠時間が短くなったり、毎日早起きするには継続する意志が必要になったりすることが挙げられます。

先に述べたように、試験時間にベストコンディションで臨めるのは朝型ですから、どうしても夜型の方が自分に合っているという受験生でも、入試日の1カ月前ぐらいからは朝型にシフトすることをおすすめします。

 

 

中学受験の小学生は8~9時間の睡眠時間を確保

 

勉強のスタイルを朝型にシフトするとして、毎日の睡眠時間はどれぐらい取ればよいのでしょうか。ある程度自分の勉強スタイルが決まってきた中高生の場合は、自分のコンディションに合わせて勉強時間を確保してください。それに対して、保護者の方も一緒に考えてもらいたいのが中学受験に取り組む小学生の睡眠時間です。

 

小学5年生を対象に広島県教育委員会が、国語と算数の試験結果と睡眠時間について調査しています(平成15年度「基礎・基本」定着状況調査報告書)。それによれば、睡眠時間が5時間以下の子どもの場合、国語51.9点/算数53.9点で最も低い点数でした。

これに対し、5時間以上6時間未満61.8点/65.8点、6時間以上7時間未満66.1点/69.8点、7時間以上8時間未満69.9/73.9点、8時間以上9時間未満70.8点/74.1点、9時間以上10時間未満で70.3点/73.7点、10時間以上64.7点/67.7点でした。

これを見ると、睡眠時間が長くなるのに伴い、成績が明らかに上がることがわかります。ただし、10時間以上睡眠を取ると、極端に下がってしまうので要注意です。そこで、この年代に必要な睡眠時間は7時間以上10時間未満で、ベストなのは8~9時間ということが分かります。

 

今の子どもたちは、授業が終わるとクラブ活動。さらに塾、帰宅して宿題と忙しい毎日を送っています。帰宅したら夜更かししないで早めに就寝。早起きしたクリアな頭で、受験勉強に取り組む、そんな勉強スタイルが好結果をもたらすと言えそうです。