公立ながら難関私立中高一貫校に負けない進学実績

 

発足から約20年。公立中高一貫校が高い人気です。特に東京都や神奈川県の一貫校では、倍率5倍前後が当たり前で、7倍、8倍といった高倍率の一貫校も出現しています。

 

人気の背景には、安い学資もさることながら、大学への良好な進学実績が挙げられます。例えば東京都の小石川、武蔵といった都立中高一貫校では、東大合格者が10名を突破(2018年度)。その他の都立中高一貫校でも東大合格者を輩出しています。

公立中高一貫校は、高校の敷地内に中学を開校していることが多いため、一学年の定員を半減させて対応しました。それを考えると、都立の日比谷や西といった進学指導重点校や、難関私立中高一貫校と肩を並べる濃い内容の進学実績と言えるでしょう。

 

2020年の教育改革を境に、公立一貫校でも改革の動きが加速しています。都教育委員会は、高校でも入学者を受け入れている「併設型」の都立中高一貫校で、高校での募集を停止する方針を打ち出しています。

高校での募集を停止することで、中高6年間のカリキュラムの自由度がより増すと期待されています。高校の募集停止は、高校からの進学機会を狭めるという指摘があるものの、この動きは全国にも波及していきそうな情勢です。

 

小学校を併設して小中高12年の一貫教育に乗り出す一貫校も登場しています。都の小中高一貫教育検討委員会は、立川国際での実施を表明。小学校での英語の教科化を見据えた対応です。

 

 

科目型の試験ではなく、適性検査や作文で合否を判定

 

公立中高一貫校の入学選抜試験は、国語、算数、理科、社会といった科目型の試験は行わず、適正検査や作文、小学校での成績の報告書で判定するのが一般的です。自治体によっては、面接などを課す場合もあります。

 

この適性検査型入試では、小学校の学習範囲の中から幅広く出題されるのが特徴で、難関私立中高一貫校のような小学校の学習範囲を超えた難問は出題されません。

その代わり、これまで学んできた知識を応用して素早く判断し、表現する力が問われます。2020年度から始まる「大学入学共通テスト」を先取りした格好で、思考力や判断力、表現力を試されるのが公立中高一貫校で実施されている適性検査型入試なのです。

 

こうした能力は、日頃からたくさんの本を読むことで養うことができます。読んだ内容を感想文などにまとめることで読解力や表現力が高まると考えられています。

新聞などを読んで、世の中の動きに関心を持ち、話題の内容について親子で話し合ったり、文章化したりすることもトレーニングになるでしょう。

 

適性検査の他、小学校の成績表である報告書も合否を左右します。これは一夜漬けでは挽回できません。主要教科だけでなく、図工や音楽、体育といった教科にも、日頃から真面目に取り組む以外に対策はありません。

6年生になって急に学力が伸びても、それまでがあまり振るわなくては合格に届かない可能性があることを覚えておきましょう。

 

 

私立中高一貫校でも適性検査型入試の導入が盛んに

 

適正検査型入試と従来の科目型入試で、その特徴が大きく異なることから、公立中高一貫校と私立中高一貫校との併願は無理と考える保護者の方もいるかもしれませんが、チャンスはあります。

 

公立中高一貫校の人気に伴い、適性検査型入試を導入する私立中高一貫校が増えているのです。思考力型入試やPISA型入試、マイプレゼンテーション入試など各校呼び名は異なりますが、どれも適性検査型入試のカテゴリーですので志望校で確認してください。

 

私立中高一貫校で適性検査型入試が増えている背景には、公立中高一貫校に対抗するとともに、将来子どもたちが受けることになる大学入学共通テストを意識したものと言われています。中学入試からいち早く慣れておこうという学校側の配慮です。