全国高等学校長協会が不安解消の要望書を提出

 

2020年度から始まる大学入学共通テストで導入される「大学入試英語成績提供システム」。英語で民間の資格・検定試験を活用する新しい試みです。

しかし、最近になって英語検定で広く知られるTOEICが不参加を表明。さらに活用方法がわかりにくいことから、全国高等学校長協会が実施の延期や見直しを求める要望書を文科省に提出するなど、混乱が続いています。

 

こうした情勢を受け8月27日、文科省は同省のホームページ内に大学入試英語ポータルサイトを開設しました。「大学入試英語成績提供システム」の概要や利用方法について説明するとともに、さまざまな最新情報を掲載しています。

 

 

資格・検定試験の成績がネットワークで志望の大学に

 

「大学入試英語成績提供システム」は、資格・検定試験の成績を大学入試センターで集約・管理し、ネットワークを通じて大学へ提供するシステムです。

資格・検定試験の受験者には共通IDを発行。受験者は、大学を受験する年度の4月~12月までに受けた2回までの検定結果を登録できます。検定結果自体は、資格・検定試験の事業者から直接大学入試センターに送られます。

これに対し大学は、共通IDを利用して受験生の成績を入手します。なお、検定試験の成績は大学入学共通テストを利用しない選抜や総合型選抜、学校推薦型選抜でも利用可能といいます。

 

文科省では、「従来、受験生は志望する大学・学部等ごとに資格・検定試験実施事業者に成績証明書の発行を請求し、受領した上で、それを各大学に提出する必要」がありましたが、大学入試英語成績提供システムの活用により、「これらの出願に係る負担を軽減」することができると、その有効性を説明しています。

 

この資料には、2020年度大学選抜に向けた共通ID発行のスケジュール、重複発行を防ぐために提出が求められる本人確認の必要書類、共通ID発行後(共通ID通知はがきの確認)、大学への成績請求・提供のスケジュール、成績提供システムを通じて大学へ提供される項目などがまとめられていますので、ぜひ参考にしてください。

 

 

対応する資格・検定試験の事業者、各大学の利用方針へのリンクも

 

大学入試英語ポータルサイトには、英語の資格・検定試験に関連するさまざまな情報がまとめられています。資格・検定試験に挑戦しようと考えている受験生はこれも必見です。

 

例えば、「3.『大学入試英語成績提供システム』の成績提供の対象となる資格・検定試験の概要(各試験の概要、実施日程、試験実施会場等)」では、対応する資格・検定試験事業者のリスト、試験日へのリンクが張られています。

 

また、「4.英語資格・検定試験活用に関する各試験実施主体の取組の内容」では、それぞれの資格・検定試験の事業者が行っている試験の公平性・公正性を確保するための取り組みについてまとめています。

試験監督の考え方や不正防止対策、ライティングやスピーキングを採点するうえでその質を担保するための方策など、受験者にとってどれも興味深い内容です。

 

「5.大学・短大の大学入試英語成績提供システムの利用予定の状況」では、各大学が「大学入試英語成績提供システム」をどのように利用するかがまとめられています。

それぞれの大学がシステムを利用するかどうかは、各大学の判断に任されています。利用する大学の場合、「一定水準以上の成績を出願資格とする」、「個別選抜の英語の得点に加点する」といった方針へのリンクが張られています。

 

 

出典:「大学入試英語ポータルサイト」(文部科学省)

http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/detail/1420229.htm