海外の学校と提携し、本格的な国際化教育に乗り出す

 

新しい国際化教育に対応した私立中高一貫校が注目されています。一つは「ダブルディプロマ」(DD)の導入校、もう一つは「ラウンドスクエア」への加盟校です。

 

ディプロマとは、高校の卒業証明書のこと。ダブルディプロマを導入する高校を卒業すると、日本と海外の卒業資格をダブルで取得することができます。進学先も日本と海外、どちらでも選択可能です。

 

ダブルディプロマの導入で先行しているのが、文化学園大学杉並中学・高等学校です。2015年に開設した「ダブルディプロマコース」では、日本とカナダ・ブリティッシュコロンビア(BC)州の卒業資格を取得できます。

 

ダブルディプロマコースの生徒は、日本とカナダと両方のカリキュラムを学んでいきます。カリキュラムは、一般クラスよりも週10時間程多く組まれており、カナダのカリキュラムは、ネイティブスピーカーより英語で行われます。

 

また高校1年の7月から、BC州に5週間短期留学。現地でホームステイしながらカナダの歴史や文化を学び「Social Studies10」の単位を取得します。進学先としては欧米の大学とともに、国際学部等を中心とした日本の難関大学を挙げています。

 

 

2020年から女子中高一貫校でダブルディプロマ導入校が相次いでスタート

 

文化学園大学杉並中学・高等学校の取り組みが好評だったことを受け、2020年からはダブルディプロマプログラムの導入校が増えています。首都圏では麹町学園女子中学校高等学校、神田女子学園中学校高等学校、国本女子中学校・高等学校でスタートしました。

 

麹町学園女子中学校高等学校は、アイルランドとニュージーランドの4つの高校と提携。高校では、11カ月から22カ月の留学期間が設けられています。また、神田女子学園中学校高等学校は、アイルランドの教育協力協定校に18カ月以上留学することで、日本とアイルランドの卒業資格がダブルで得られます。

 

国本女子中学校・高等学校は、カナダ・アルバータ州教育省と提携。同じ校舎の中に「Kunimoto Alberta International School」(KAIS)を開設し、同校とKAISの二つの学校の授業を受けることで、ダブルディプロマに対応します。

 

いずれの学校も、聞く、話す、読む、書くの英語4技能の向上を目標に、ネイティブスピーカーによる英語教育に力点を置いているのが特徴です。それだけではなく、現地の歴史や文化も学び、多様性に対する理解力を育みます。

 

 

加盟校の生徒たちが環境や国際問題などを英語でディスカッション

 

一方のラウンドスクエアは1966年、ドイツの教育者であるクルト・ハーン氏が設立した私立学校連盟で、加盟校となるには審査をパスしなければなりません。現在は世界50カ国180校以上が加盟しています。

 

基本理念として「国際理解」「民主主義の精神」「環境問題に対する意識」「冒険心」「リーダーシップ」「奉仕の精神」を掲げ、国際社会で活躍できる人材の育成が目標です。

 

特に10月に行われる高校生を対象とした国際会議では、加盟校の生徒たちが集まり、環境や国際問題などをテーマに英語でディスカッション。会議の他にも、開発途上国での井戸掘りなど、さまざまな奉仕活動を行っています。

 

2015年には玉川学園中学部・高等部がメンバー校として認定されたのをはじめ、2017年には八雲学園中学校高等学校が、翌年の2018年には啓明学園中学校高等学校が認定されました。

 

学校選びでは、毎年発表される偏差値や難関大学への合格者ランキングなどに左右されてしまいがちです。しかし、日本の大学の国際的評価が長期低落傾向で歯止めがかからないことを考えると、保護者としては別のモノサシも視野に入れておく必要がありそうです。