人気の高い国立小学校

子どもを国立小学校に入学させたいと考えている親御さんは多いことでしょう。しかし、筆記試験や行動観察、面接を経て、場合によっては抽選によって選出され、受験倍率は数十倍にものぼるといわれる「狭き門」が国立小学校です。

 

国立小学校の受験を検討する前には、まずは国立小学校がどのような学校なのかを知っておくことが大切です。晴れて入学できたとしても、後になって「こんなはずじゃなかった……」とならないよう、事前に情報収集しておきましょう。

 

 

国立小学校とは?

国立小学校とは、国立教育大学や国立大学の教育学部に附属する小学校で、全国に70校ほどしかありません。

国立小学校の第一の目的は、「教育実験校」としての役割を果たすことです。教員を志望する学生の教育実習の場として利用したり、新しい教育理論を試したりする場としての側面が強く、この点を理解していくことが非常に重要です。

 

 

国立小学校のメリット

国立小学校は「教育実験校」なので、授業には大学で研究中の最先端の教育手法が積極的に取り入れられます。教員のレベルが高いケースも多く、公立のような画一的な授業ではなく、教員独自のオリジナリティに富んだ授業スタイルが採用されるのも特徴です。

 

周りの生徒達は厳しい受験をパスして入学しているため、ある程度の学力レベルに達した生徒や、落ち着いた性格の生徒が多く、いじめや学級崩壊などのリスクは公立よりも低いといえます。

子どもは周りの友達に強く影響されます。国立や私立のように、一定の学力レベルにある生徒に囲まれて学校生活を送ることは、子どもの成長にプラスに働くことが期待できるでしょう。

 

また、学費に関しては公立と同様に無料なので、私立よりも費用面の負担が軽いのも大きな魅力です。

 

 

国立小学校のデメリット

「教育実験校」という特性上、最先端の教育や独自の授業が受けられる反面、教科書通りに授業が進められないので、公立や私立と比較すると学習が遅れがちです。そのため家庭で補習したり、塾に通わせたりする親御さんも少なくありません。

ましてや、中学入試が有利になる学力をつけてくれるといった、過度な期待は禁物です。学力をつけることを第一に考えるのであれば、私立の進学校が適しています。

 

またPTAや学校行事が多く、両親は積極的な参加を求められます。1学期で有給休暇がなくなってしまうケースもあるといわれており、共働きのご家庭は相応の覚悟が必要です。

 

さらに、自宅のそばに国立小学校があれば別ですが、多くの場合は公共交通機関を利用して通学させることになります。通学に際しては、子どもにかかる心理的・肉体的負担や、安全面にも考慮しなければなりません。

 

 

国立小学校の受験対策は?

国立小学校は教育実習や教育実験を目的としているため、その目的に合った児童が求められます。具体的には「人の話をきちんと聞ける」「ルールやマナーを守れる」「人前で自分の考えを発言できる」「社会性がある」といったパーソナリティが重視され、その反面学力は私立ほど重視されません。

筆記試験によってある程度ふるいにかけられますが、優秀な児童ばかりを集めてしまうと、新しい教育手法のサンプルになり得ないというのがその理由です。

 

行動観察では、数人の児童がグループになって課題をこなす様子を観察します。例えば積み木やゲームのようなものをさせて、その中で社会性や積極性、自主性などをチェックします。

複数の子どもたちの中で遊ぶ経験をしていないと、自分勝手に行動したり、引っ込み思案な面が出たりしてしまうので、ある程度の場慣れが必要でしょう。

 

面接では主に両親についてチェックされます。家庭での教育方針や、PTAや学校行事に積極的に参加する意志があるか、学校にとって面倒を起こす親ではないかといった点を、質問の応対によって判断されます。

 

筆記試験、行動観察、面接をクリアした生徒は、最終的に抽選によって選別されます。これに関しては完全にクジ運になってしまうので、いくら綿密に受験対策を行ったとしても、それが報われるかどうかは神頼みです。

 

 

子どもの特性に合わせた判断を

子どもに国立小学校を受験させる際には、メリットとデメリットをきちんと理解し、「教育実験校」という役割に対して賛同できるかどうかが重要なポイントとなります。

また、子どもの性格や特性がその学校に合っているかも考慮し、慎重に判断するようにしましょう。