減少する子どもの自然体験

インターネットやスマートフォンといったIT分野の発展により、子どもがゲームや動画などのバーチャルな世界に触れる機会が増加しています。

それに伴って、外遊びや自然に触れ合う実体験の機会が失われていく現状を懸念する方も多いと思われます。自然体験は子どもの成長にどのような効果をもたらすのでしょうか。

 

自然体験とは?

自然体験とは、具体的にどのような体験を指すのでしょうか?

例えば、泥遊びや昆虫採集、魚釣り、キャンプ、ハイキング、山登り、川遊び、海水浴などといった、自然の中で身体を動かして遊ぶ活動全般が自然体験です。

 

近年はゲームや動画などのツールが身の回りにあふれていることに加え、安全面や防犯上の理由から、子どもを外で遊ばせる機会は減っています。また、新型コロナウイスル感染症の影響もあり、かつては当たり前のように行われていた自然体験は、近年の日本ではむしろ貴重な体験になってしまいました。

 

 

幼少期からの自然体験が重要

外遊びが幼少期の子どもの成長にとって重要なものだと理解している方は多いでしょうが、具体的にどのような効果があるかまで認識している方は多くないかもしれません。

 

幼少期までの自然体験がもたらす効果を研究した例は数多く報告されており、特に幼稚園生から小学校低学年までの間に、自然体験をたくさんさせることが重要だと指摘しています。

 

 

自然体験がもたらす効果

いくつかの研究結果から、幼少期の自然体験が豊富な児童は、積極性や責任感、協調性、自然への関心などの項目が高い傾向にあることが明らかになっています。研究結果からは、課題解決能力や豊かな人間性の獲得と自然体験の有無との相関関係も認められています。

 

このような効果がもたらされる理由ははっきりとしていませんが、自然の中で体を動かして遊ぶことにより、自然の美しさや新たな発見をしたときの驚き、未知のものへの好奇心など、人格の形成で重要な感性が磨かれることが影響していると考えられるでしょう。

 

さらに、手先の器用さや身体能力の向上、健康で丈夫な体づくりなど、自然体験はフィジカル面においても影響があるとされています。

 

 

最終学歴にも影響

研究によると、幼少期に積極的な自然体験をした児童の方が、最終学歴は高い傾向にあります。自然体験による積極性や責任感、知的好奇心の向上が子どもの「やる気」を育み、学習意欲の向上につながったと考えられます。

 

最終学歴というのは人間の一面でしかありませんが、やる気や向上心を獲得できれば、社会に出てからも多くの面でプラスに働くことでしょう。

 

 

おすすめの自然体験

子どもにおすすめの自然体験には、どのようなものがあるのでしょうか。

3歳から6歳頃までは、近くの公園で遊ぶだけでも十分です。落ち葉やどんぐりを拾ったり、昆虫を観察したり、子どもがやりたいようにやらせてみてください。

自然は子どもの興味を引くものであふれています。子どもの感じるままに、自由に遊ばせてあげましょう。

 

7歳から10歳頃になると、身体能力の向上に伴って多くのことができるようになります。川遊びや魚釣り、キャンプや山登り、海水浴やスキーなど、よりアクティブな活動をさせてあげるのもおすすめです。

 

忙しい親御さんは、ボーイスカウトや自然体験プログラムなどを活用するのも手です。多くの子ども向けプログラムやサービスが提供されているので、安心して子どもに自然体験をさせてあげることができます。

 

キャンプなどのアクティビティは道具も必要ですし、親御さんが不慣れなケースもあります。これらの自然体験プログラムをうまく使って、子どもたちに貴重な自然体験をさせてあげましょう。