正しい「書き順」を守っていますか?

文字の書き順(筆順)は小学校で習ったものの、いつのまにか自己流になっていたり、曖昧に覚えていたりして、正しい書き順を完全にマスターしている人は大人でも多くありません。

 

「書き順を守らなくても文字は書けるし、困ることはない」という声も聞かれますが、本当に書き順は守らなくても良いものなのでしょうか?

 

書き順を守るメリットや重要性を知れば、正しい書き順を覚えるモチベーションが上がることでしょう。

 

メリットその1「文字が書きやすい」

文字の書き順の起源は、書道家のような文字に関わる人々によって考案され、文字をより速くきれいに書くために、改良を重ねて体系化されたものといわれています。

 

とはいえ、かつて庶民の間では統一された基準はなく、個人が好きなように書いていたそうです。現在定められている書き順は、昭和33年に文部省が発行した「筆順指導の手びき」によって統一化されました。

 

書き順は、先人達が合理性を求めて作り上げてきたものです。正しい書き順を守れば、読みやすい文字が自然と速く書けるようになっています。

 

 

メリットその2「美しい文字が書ける」

書き順は、文字をきれいに書くための筆の流れも計算されています。正しい書き順にのっとれば「とめ・はね・はらい」といった筆使いが自然とでき、誰にでも読みやすく、伝わりやすい文字になるのです。

 

誤った書き順で書かれた文字は、どこかいびつで読みにくいものですが、それは書き順を守らなかったために、「とめ・はね・はらい」の使い所が不適切なせいもあるでしょう。

 

 

メリットその3「たくさん書いても疲れにくい」

書き順は筆がスムーズに流れるよう考えられているので、速く書けるだけでなく、たくさん書いても疲れにくいです。

 

たくさんの文字を書くことができれば、その分学習効率が上がります。

また、文字を書くことで記憶に定着しやすくなるため、たくさん書ければ暗記や試験勉強にも有利に働きます。

 

 

書き順を覚えるコツ

膨大な量がある漢字の書き順を、一つひとつ覚えていくのは大変な作業です。正しい書き順を覚えるのを途中で諦めてしまう人もいるかもしれません。

しかし、書き順には基本的なルールがあり、それさえ頭に入れておけば大抵の文字は対応できます。以下の7つが、代表的な書き順のルールです。

 

・「上から下へ」(三、幸など)

・「左から右へ」(川、林など)

・「縦棒と横棒が交わるときは横棒から」(十、千など)

・「左はらいが先、右はらいが後」(人、文など)

・「真ん中を貫く棒は最後に」(中、車など)

・「外側を囲む画は先に」(内、四など)

・「真ん中と左右があるときは真ん中から」(小、水など)

 

複雑な漢字はほとんど部首の組み合わせなので、書き順の基本ルールと代表例を覚えておけば、すべてを個別に覚える必要はありません。

 

 

自分の書き順を見直してみよう!

書き順の基本ルールをご紹介しましたが、実際にはこのルールに当てはまらない漢字も存在するのが悩ましいところです。

そのような例外的な書き順の漢字は、個別に覚えるしかありません。

 

よく書き順を間違えやすい漢字に「必」があります。

「必」の正しい書き順は、まず中央上の点から書き始め、2画目は右上から左下へのはらい、3画目は左上から右下に交わる線、4画目は左の点、最後に右の点という順番です。

 

形が「心」に似ているため、「心」を書いてから最後に縦画を加えるという書き順をしている人もいますが、これは誤りです。誤った書き順で書くと、いびつな見た目の「必」になってしまうので注意しましょう。

 

また、自分で書いている漢字がどこか不格好だったり、苦手意識を持っている漢字があったりする場合は、書き順を間違えている可能性があります。

漢字辞典や書き順をアニメーションで解説してくれるサイトなどで、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。