何歳から持たせる? 子どもの「スマホデビュー」事情

スマートフォンやタブレットなどの情報端末が各家庭に普及し、現代の子どもたちは幼児期から自然と情報端末に触れる環境で育っています。

 

幼児期では親のスマートフォンを共用させていたものの、小学校に入学する頃になると「いつから子ども専用のスマホを持たせるべきか?」と考え始める親御さんも多いことでしょう。

 

しかし、情報端末を持たせる際に怖いのが、インターネット利用によるトラブルです。携帯電話やスマートフォンを適切なタイミングで持たせて、スマートフォンの使用により考えられるトラブルを回避するためには、どうすれば良いのでしょうか。

 

小学生の携帯端末所有率

内閣府の「青少年のインターネット利用環境実態調査」(※1)によると、小学生の携帯端末(携帯電話・スマートフォン)所有率は2010年度が20.9%だったのに対し、2017年度には55.5%に増加しています。

 

また、NTTドコモのモバイル社会研究所が2019年に発表した調査結果(※2)では、関東地方1都6県における小学1〜2年生の携帯端末所有率は21%、小学3〜4年生は40%、小学5〜6年生では45%となっています。小学校高学年では、半数近くの児童が携帯電話かスマートフォンを所有している状況です。

そして中学1〜3年生になると所有率は63%にのぼり、過半数の生徒が携帯端末を所有しています。

 

他の調査によると、都市部と地方部で所有率や所有を開始する年齢に開きがあり、都市部ほど地方部と比較して所有率が高く、所有開始年齢も低い傾向にあるようです。

 

※1 内閣府「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査(PDF版) 」

https://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/r01/net-jittai/pdf-index.html

 

※2 株式会社NTTドコモ モバイル社会研究所「子どものICT利活用の検討No.12」

https://www.moba-ken.jp/project/children/kod_ict_no12.pdf

 

 

子どもの携帯端末の種類は?

携帯端末を持たせる年齢だけでなく、どんな携帯端末を持たせているのかも気になるところです。

子どもが所有する携帯端末は、大きく「携帯電話」「キッズ向け携帯電話」「スマートフォン」「キッズ向けスマートフォン」の4種類に分けられます。

 

キッズ向け携帯電話は、各キャリアから「キッズケータイ」や「キッズフォン」などの名称で販売されている子ども向け携帯電話です。見た目は小さなスマホのようですが、機能面では通話やGPS機能などに限られ、SNSやインターネットサイトの閲覧などはできません。

子どもと連絡を取りたい、子どもの居場所をGPSで把握したいといった、防犯面での活用に主眼を置いた製品といえます。

 

キッズ向けスマートフォンは、通常のスマートフォンと同様にAndroidを搭載しながらも、子ども向けの使用制限機能を持たせた商品ですが、種類はあまり多くありません。

スマートフォンであれば、閲覧できるWebサイトのフィルタリングやアプリのダウンロード制限などは各自で設定したり、使用制限用のアプリやサービスを利用したりすることで実現できるため、キッズ向けに特化して販売する意義が薄いことが、理由のひとつに考えられます。

 

 

スマートフォンへの切り替えは中学生から

先述のNTTドコモ モバイル社会研究所の調査では、携帯端末を所有する児童のうち、小学1〜2年生ではスマートフォンよりも携帯電話の所有率が圧倒的に高いものの、学年が上がるごとにスマートフォンの割合が高くなっていきます。

そして中学生になると、ほとんどがスマートフォンになっています。

 

この結果から分かるように、多くのご家庭では中学生になるタイミングで「スマホデビュー」、もしくは携帯電話からスマートフォンへの切り替えをされているようです。

 

 

スマートフォンを持たせる問題点

基本的に通話しかできないキッズ向け携帯電話ならともかく、スマートフォンとなるとあらゆることができてしまうので、子どもに持たせる際には不安も多いでしょう。

 

まず心配されるのは、子どもが「スマホ依存」になるのではという点です。スマートフォンはゲームや動画アプリ、そしてSNSなど、子どもが熱中するものであふれています。スマホのやりすぎで勉強がおろそかになったり、視力が低下したりする可能性もあります。

 

SNSが子どもに与える悪影響も深刻な社会問題です。ネット上でのいじめをはじめ、出会い系サイトにより子どもが性犯罪のターゲットとなる事件も目立っています。

 

また、子どもが不適切なサイトや動画を閲覧することで人格に悪影響を及ぼさないかなど、心配は尽きません。

 

 

家庭内でのルール作りや適切な使用制限を

何かと不安も多いスマートフォンですが、緊急時に連絡をしたり、子どもがどこにいるのかを見守ったりできる便利なツールでもあります。

子どもにスマートフォンを与える際には、はじめに使用に関するルールを設けることが大切です。「1日1時間まで」「夜9時以降は使わない」「食事中は触らない」など、親子で話し合って節度ある使用ができるようなルールを設けましょう。

 

また不適切なサイトや危険なサイトへのアクセスを制限する、フィルタリング機能は必須です。

SNSが原因で犯罪の被害を受けた子どもの約9割が、フィルタリングを行っていなかったという調査結果もあります。

 

子どもの身を守るためにも適切な使用制限を設け、子どもがスマートフォンとうまく付き合っていけるよう、親御さんが積極的にサポートしてあげることが大事です。