高校の授業料は実質無料

2010年よりスタートした「高等学校等就学支援金制度」により、国公立の高校の授業料が実質無料になっていますが、2020年4月に本制度が改定され、私立高校においても実質無償化が始まったことをご存知でしょうか?

 

支援金の対象となる方の判定基準なども改訂されているので、一度確認しておく必要があります。

 

「高等学校等就学支援金制度」とは?

「高等学校等就学支援金制度」は、2010年に成立した通称「高校無償化法」がルーツとなっています。教育費にかかる家庭の経済的負担を軽減し、教育の機会均等を目的とした支援制度です。

 

成立当初は公立高校の授業料を免除し、私立高校には同額の支援金を支給するものでしたが、2014年の法改正により現行の「高等学校等就学支援金制度」となり、一定の所得を下回る世帯にのみ適用される形へ変更されています。

 

 

受給の所得要件

高等学校等就学支援金を受給するためには、所得要件を満たす必要があります。

その要件とは、モデル世帯(両親のうちどちらか一方が働き、高校生と中学生の子供2人がいる4人家族)で世帯年収が約910万円未満であることです。

 

要件を満たした世帯は、公立高校の授業料相当額である年間11万8,800円を国が負担してくれるため、授業料は実質無料となります。

 

ただし、年収910万円というのはあくまで目安で、年収を判定する算出方法によって受給対象となるかどうかは決まります。

この算出方法は2020年6月支給分までと、2020年7月支給分以降で異なるため注意が必要です。

 

2020年6月支給分までは「道府県民税所得割額と市町村民税所得割額の合算額が50万7,000円未満」が受給要件でしたが、2020年7月以降は「課税標準額(課税所得額)× 6%-市町村民税の調整控除額で計算される算出額が30万4,200円未満」となっています。

 

 

2020年4月から私立高校も実質無償化

「高等学校等就学支援金制度」は2020年4月の改定により、私立高校に通う生徒への支援が手厚くなった点も大きなポイントです。

 

従来は、年収約270万円未満では29万7,000円、年収約270万円〜約350万円は23万7,600円、年収約350万円〜約590万円は17万8,200円、年収約590万円〜約910万円は11万8,800円というように、世帯年収に応じて段階的に支給額が定められていました。

 

これが2020年4月の改定により、年収約590万円未満(前出のモデル世帯の場合)の支給額が一律39万6,000円に引き上げられ、私立高校の授業料が実質無料となったのです。

 

年収約590万円〜約910万円の世帯は、私立高校であっても従来どおりの11万8,800円の支給となり、年収約910万円以上の世帯では支給されない点に変更はありません。

 

年収約590万円未満を判定する方法ですが、2020年7月支給分以降は「課税標準額(課税所得額)× 6%-市町村民税の調整控除額で計算される算出額が15万4,500円 未満」の場合が「私立高校授業料実質無償化」となります。

2020年6月までの判定基準では、「道府県民税所得割額と市町村民税所得割額の合算額が25万7,500円未満」が受給要件です。

 

 

支給の対象は授業料のみ

「高等学校等就学支援金制度」を利用するうえで注意すべきなのは、支給されるのは授業料のみであり、入学金や教材代、給食費などは別途支払う必要がある点です。

 

もっとも、生活保護世帯や住民税所得割非課税の世帯の場合は、「高校生等奨学給付金」という制度を利用することで授業料以外の教育費の支援を受けられます。

 

また各自治体が独自で授業料の支援を行っている場合もあり、「高等学校等就学支援金制度」と併用して利用することができるので、興味のある方はお住まいの自治体に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

所得制限はあるものの、経済的な理由から高校に通えなくなるということは少なくなるはずです。