ますます人気が高まる公務員

昨今の先行き不透明な経済情勢を反映してか、高校生を対象にした「将来なりたい職業ランキング」の上位にランクインしている公務員。近年は小学生や中学生の間でも人気職業となっており、公務員に対する注目度は増すばかりです。

 

公務員の魅力

一般企業の多くが営利を目的にしているのに対し、公務員は純粋に国民や地域住民のために奉仕するのが目的です。仕事を通じて直接的に人々の役に立ち、社会貢献できる点が公務員の最大の魅力といえます。

 

また売上不振や倒産といった恐れがなく、安定した給与と手厚い福利厚生が約束されている点も見逃せません。一般企業の中には、長時間労働や福利厚生の整っていない「ブラック企業」が散見されますが、公務員ならばそのような心配は少ないでしょう。

 

 

公務員の種類

公務員とひと口にいっても、実に多くの職種が存在します。各省庁で働く国家公務員の総合職や一般職、都道府県庁や市役所の職員をはじめ、警察官、消防官、自衛官、検察官、裁判官のほか、国会議員や地方議員も含まれます。また地方自治体に所属する教員や保育士、栄養士なども公務員です。

 

このように多種多様な職種がある公務員ですが、大きく「国家公務員」と「地方公務員」に分類することができます。

 

 

国家公務員とは?

国家公務員は「行政府」「司法府」「立法府」という国の根幹ともいえる機関に所属する公務員のことです。全公務員のうち、約2割を占めます。

「行政府」は財務省や経済産業省、厚生労働省、外務省といった各省庁を指し、「司法府」には最高裁判所や高等裁判所、家庭裁判所などがあります。「立法府」とは、衆議院や参議院、国会図書館などです。

 

また国家公務員の中でも、さらに「総合職」「一般職」「専門職」の3つに分けられます。

「総合職」は幹部候補生として早くから多彩な職務を経験し、やがて国の政策を企画立案するという重責を担います。勤務地は基本的に中央省庁(霞が関)ですが、省庁によっては地方や海外への転勤がある職種です。

 

「一般職」は主に政策の実行を担当し、事務処理などの業務に従事する職員です。勤務地は中央省庁と地方の出先機関がありますが、転勤先はある程度限定されるという特徴があります。

 

そして「専門職」には、外務省専門職や防衛省専門職、国税専門官、財務専門官、労働基準監督官などが挙げられます。特定の官庁で特定の職種に採用されるのが、総合職や一般職との違いです。

 

 

地方公務員とは?

地方公務員は各都道府県や市区町村などの自治体で住民の生活をサポートする公務員です。全公務員の約8割を占めます。

 

地方公務員は「一般職」と「特別職」に分けられ、「一般職」は都道府県庁や市区町村の役所、教育部門(公立学校、幼稚園、保育園)、警察部門、消防部門で勤務します。

「特別職」は県知事や市長といった各自治体の首長や、都道府県議会、市区町村議会の議員のことです。

 

地方公務員は転勤のエリアが限られるので、地元から離れず働きたい人に向いていますが、部署間での異動は頻繁に行われる傾向にあります。

 

 

国家公務員になるには

国家公務員になるためには、まず国家公務員試験に合格する必要があります。試験は職種毎に分かれており、総合職試験と一般職試験については合格後に官庁訪問を行い、各官庁で内定を受けなければいけません。

 

また、総合職試験には「院卒者」と「大卒程度」の区分が、一般職試験には「大卒程度」「高卒程度」「社会人」の3つの区分が存在します。

 

専門職の試験については、「国税専門管」や「財務専門官」などの職種毎に個別に試験が実施されるため、合格後に就職したい官庁を選択することは不可能です。

 

 

地方公務員になるには

地方公務員になるためには、各自治体で実施される採用試験に合格する必要があります。

採用試験の募集区分は各自治体によって名称がまちまちですが、主に4つの区分が存在します。

 

1つ目は「上級」(Ⅰ類、Ⅰ種、大卒程度)、2つ目は「中級」(Ⅱ類、Ⅱ種、短大・専門卒程度)、3つ目は「初級」(Ⅲ類、Ⅲ種、高卒程度)、そして4つ目は「社会人経験者」です。

 

また、国家公務員試験、地方公務員試験ともに筆記テストの「一次試験」と、面接の「二次試験」(人物試験)を課しています。

 

 

なりたい職種や勤務地から選ぼう

公務員にはさまざまな職種があり、それぞれに活躍のフィールドが用意されています。

漫然と公務員になろうと思うのではなく、「国の政策に関わりたい」「自分の得意分野を生かして社会に貢献したい」「自分の生まれ故郷に恩返しがしたい」など、自分の目的に合った選び方をすることが大切です。