選択肢はさまざま

高校進学を諦めざるを得なかった人や、高校に入学したものの中退してしまった人など、さまざまな事情や理由によって、高校卒業の資格を取得できなかった人もいらっしゃるでしょう。「高卒」の資格を持っていないと就職で不利になるなど、多くの場面で制約を受けることがあります。

 

高校入学に年齢制限はありません。実際に「通信制高校」には幅広い年齢層の人が在籍していて、いつでも「高卒」の資格は取得できます。他にも選択肢は各種用意されていて、「高卒認定試験」もその選択肢のうちのひとつです。

 

「高卒認定試験」とは?

「高卒認定試験」の正式名称は「高等学校卒業程度認定試験」といい、「高卒認定」や「高認」と略されることもあります。さまざまな理由で高校を卒業できなかった人の学習成果を適切に評価し、高卒者と同等以上の学力があるかどうかを認定するための国家試験です。

 

かつては大学入学資格検定(大検)と呼ばれていましたが、2005年度より制度と名称が変わり、高校や高専などに在籍中の人でも受験が可能になりました。

また「家庭」「保健」「簿記」の3科目がなくなり、英語が必修になるなどの見直しもされています。

 

 

「高卒認定試験」の利用シーン

高卒認定試験を合格すると、高卒の学歴がなくても国立・公立・私立すべての大学・短大・専門学校の受験資格を得られます。

また、国家公務員採用一般職試験(高卒者試験)をはじめ、小学校教員資格認定試験や、1級建築施工管理技術検定試験など、各種採用試験や資格試験の受験資格を得ることも可能です。

 

高卒認定試験に合格しても、最終学歴が高卒になるわけではありませんが、採用時に高卒者と同等に評価するとしている企業も増えています。高卒認定試験の合格によって、進路の選択肢を大きく広げることができるのは間違いないでしょう。

 

 

試験の概要

高卒認定試験の受験資格は「受験する年度末までに満16歳以上になる者」となっています。高卒者などすでに大学入学資格を持っていなければ受験することが可能です。

 

出題科目は全14科目で、文系科目は「国語」「英語」「現代社会」「倫理」「政治経済」「世界史」「日本史」「地理」の8科目、理系科目は「数学」「科学と人間生活」「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の6科目です。「世界史」「日本史」「地理」はそれぞれAとBの2科目に分かれます。

 

免除などが特にない場合は、14科目の中から8科目〜10科目を選んで受験します。「国語」「英語」「数学」の3科目は必須科目となっているなど、細かな要件が定まっているので、詳細は文部科学省のホームページなどで確認しましょう。

 

試験日は毎年8月上旬と11月上旬の年2回で、何回でもチャレンジできます。また一度合格した科目は、次回以降の試験で免除となり、改めて受け直す必要はありません。

 

 

難易度や合格率は?

高卒認定試験はそれほど難しい試験ではありません。解答はすべてマークシート方式が採用されていて、高校1年生程度の学力をしっかりとつけておけば合格できるといわれています。

 

合格点は公表されていませんが、だいたい100点満点中40点前後とされています。全科目を通じて半分の問題を正答できるように対策しておけば良いでしょう。

 

毎年2万人程度が受験し、試験に合格する人の割合は約4割です。「半数以上が不合格するの?」と思われるかもしれませんが、あくまでも全科目合格者の割合なので、落としてしまった科目は次回以降に受験しなおせば問題ありません。

 

 

高卒認定試験の攻略法

高卒認定試験の特徴は、試験科目が多いことです。勉強しなければならない範囲が広く苦労も伴います。

まずはどの科目を選ぶかがポイントです。得意・不得意は個人差があるので、自分の得意な科目から選ぶか、あるいは不得意な科目を除外していく消去法でも構いません。

各科目の出題範囲を確認し、効率良く合格できるための科目選びをしっかりと行うのがカギです。

 

また一つひとつの科目をじっくり勉強して、100点満点を目指すような勉強は必要ありません。前述のように40点程度取ることができれば合格ラインに乗るので、「半分は間違えてもいい」と気楽にとらえ、リラックスして臨みましょう。

 

科目にもよりますが、高卒認定試験は毎年似たような問題が出題される傾向にあります。市販のテキストや過去問を繰り返し学習するのが、最も効率の良い学習法です。

高卒認定試験を目指している方は参考にしてみてください。