小学校で増えている「調べ学習」

小学校の宿題や課題で、「調べ学習」を課されるケースが増えています。子どもが困っているものの、どうやって教えれば良いか、どうフォローしてあげれば良いか悩んでいる親御さんも少なくないようです。

そこで、調べ学習とはそもそもどのような目的や狙いがあるのか、どのように学習を進めていけば良いのかという点にフォーカスを当てて解説します。

 

「調べ学習」とは?

調べ学習とは、児童自身が興味を持つ事柄に対して自分でテーマを決め、調べ方を自分なりに考えてから調査し、調査結果を整理・分析したうえで、レポートにまとめて報告するという一連の学習を指します。

 

調べ学習は、総合的な学習の時間の「探究的な学習」として位置付けられていることが多いです。小学校学習指導要領では、探究的な学習を行うためには次のような学習過程が重要としています。※1

 

①【課題の設定】体験活動などを通して、課題を設定し課題意識をもつ

②【情報の収集】必要な情報を取り出したり収集したりする

③【整理・分析】収集した情報を、整理したり分析したりして思考する

④【まとめ・表現】気付きや発見、自分の考えなどをまとめ、判断し、表現する

 

ここで見えてくる調べ学習の狙いとは、児童自身が課題を設定し、情報を集め、得られた情報を分析する中で生み出された自分の考えや意見をまとめ、表現するという、物事の本質を探って見極めようとする一連の知的営みを育み、鍛えることにあります。

 

つまり、他人から与えられた課題を行うだけでは調べ学習には当たりません。児童自身が課題を見つけ、自分なりの答えを出すまでのプロセスが重要であるということです。

 

※1出典:文部科学省「小学校学習指導要領解説」

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/1387014.htm

 

 

調べ学習の進め方

子どもの調べ学習をフォローする際に、まず子どもに説明しておきたいのが、調べ学習の基本的な手順です。

 

手順1.「テーマを決める」

手順2.「調べ方を考え、調べる」

手順3.「調べたものをまとめる」

 

学校から手順を指示されている場合もあるので、それを確認しながら教えてあげるようにしましょう。

 

 

手順1.「テーマを決める」

子どもが一番つまずきやすいのが「テーマを決める」ところです。調べ学習に慣れていないと、どんなテーマにすれば良いか悩んでしまいがちです。

 

そのような場合は、子どもがテーマを見つける手助けをしてあげる必要があります。最近疑問に思ったことや興味のあること、学校で習ったことでもっと知りたいと感じたことなどがないか聞いてみましょう。

 

また調べ学習は大きなテーマで行う必要はありません。なるべく小さなテーマに絞り込むのがコツです。例えば、「天気について」といった壮大なテーマよりも、「どうやって雲ができるのか?」といった身近なテーマのほうが調べやすく、子どもの探求意欲も湧きます。

 

 

手順2.「調べ方を考え、調べる」

設定したテーマについて、どうやって調べれば良いか考えるのも学習の一環です。どうしても調べ方がわからないという場合は、まず辞書や百科事典を使って調べるよう勧めましょう。

辞書や百科事典で基礎的な知識を得たら、専門書を図書館で探したり、新聞や雑誌、インターネットなどで情報を得たり、詳しい人に話を聞きに行くなどの調査方法を教えるようにします。

 

情報収集のポイントは、1つの情報源にとどめるのではなく、複数のメディアから情報を集めてすり合わせを行うことです。これにより、偏りがなく信憑性の高い情報を得ることができます。

 

 

手順3.「調べたものをまとめる」

調べ学習では情報そのものではなく、調査を進めていく中での気付きや発見などが重要になります。調べたものをレポートとしてまとめる際は、情報を丸写しするのではなく、自分なりの考えや意見を入れることがポイントです。

 

また、読み手にレポート内容が伝わりやすいようまとめる必要があります。見出しを工夫したり、図や表を用いて見やすくしたりするのも有効です。

 

以上の点を参考に、子どもの主体的な学びを損なわない程度に、調べ学習をフォローしてあげるようにしましょう。