高校には3つの学科がある

高校には大きく分けて「普通科」と「専門学科」、そして「総合学科」3種類の学科が存在します。

「普通科」は国語や数学、地理歴史、公民、理科といった普通教科を中心に学習しますが、「専門学科」は普通教科に加えて、専門的な教科を学ぶことができる学科です。

「総合学科」は普通科と専門学科を統合した新たな学科となっています。

 

ここでは、プロフェッショナルな人材育成を目指す「専門高校」の特徴についてご紹介します。

 

専門高校とは?

専門高校とは、高校のうち「農業」「工業」「商業」「水産」「家庭」「看護」「情報」「福祉」といった職業に関わる専門学科を置く高校です。

これら8つの専門学科は職業に直結することから「職業学科」とも呼ばれます。以前は「職業高校」といわれていましたが、近年になって「専門高校」という名称に改められました。

 

専門高校では、それぞれの学科に応じた専門的な授業を実施しているのが特徴です。それに加えて、国語や数学といった普通科目の授業も受けることができます。

 

近年では職業学科にとどまらず、理数、体育、音楽、美術、英語といった専門教育を実施する高校が現れています。これらの学校は職業学科と区別して「その他の専門学科を置く高校」と呼ばれますが、専門学校の中に含めて扱われるケースもあるようです。

 

 

全高校の約3割が専門高校

高校というと普通科が最もメジャーな存在ですが、実は専門高校は全高校のうちで約3割を占める学校数を誇ります。

 

全国には4,925校の高校があり、普通科のみの高校は2,622校、専門高校は1,530校となっています。その他の専門学科を置く高校は468校、総合学科を置く高校は305校です。※1

 

※1出典:文部科学省「専門高校パンフレット」より

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shinkou/data/1356623.htm

 

 

学科別の学校数と生徒数

職業学科を置く専門高校のうち、学科別に学校数と生徒数を見てみましょう。

生徒数が多い順に並べると以下の通りです。(2016年時点)※2

 

・工業:531校、252,744人

・商業:631校、198,498人

・農業:306校、 82,372人

・家庭:273校、 41,105人

・看護: 94校、 14,457人

・福祉: 95校、  9,200人

・水産: 42校、  9,196人

・情報: 28校、  3,096人

 

学校数、生徒数ともに工業と商業が突出して多く、次いで農業と家庭が多くなっています。

 

※2出典:文部科学省「専門高校パンフレット」より

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shinkou/data/1356623.htm

 

 

どんな授業が行われているか?

専門高校では、国語や数学、地理歴史、公民、理科といった普通科目の授業も行われています。とはいえ、普通科の高校と比べると普通科目の授業料は少なく、専門教科に多くの力が注がれます。

 

専門教科の授業では、実験や実習が多く取り入れられ、実際の体験を通して学習できる点が特徴といえるでしょう。

知識を学ぶ座学だけでなく、実際に手足を動かして学ぶことにより、実践的な技能やスキルを身につけることができます。

 

 

専門高校は就職に強い

専門高校は、社会に出てから即戦力となりうる人材の育成を目指す高校です。就職には強く、高い就職率を誇っています。

卒業生の約半数が就職を選択し、その就職決定率は実に98.9%という高い数値をマークしています。

 

これは大学や短大、専修学校、他の高校(普通科や総合学科)と比較しても高い就職決定率です。将来なりたい職業や進路が明確になっている人にとっては、最適な学校といっても過言ではありません。

 

また卒業後の進路は就職だけでなく、進学を選択する人も見られます。

大学・短大へ進学する生徒は20.9%、専修学校への進学は22.7%となっており、仮に専門高校へ入学した後に、「別の職業を目指したい」「進学してもっと勉強したい」と思ったとしても、様々な進路へ方向転換することができます。※3

 

※3出典:文部科学省「専門高校パンフレット」より

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shinkou/data/1356623.htm

 

 

専門学校や高専との違い

似た名称を持つ「専門学校」や「高専」は、専門高校と混同されがちですが、これらは全て異なります。

 

「専門学校」とは、専門課程を有する専修学校を指し、高校卒業生を対象とした学校です。

中学卒業生を対象とした専修学校は「高等専修学校」と呼ばれ、専門高校と同様に実践的職業教育を行う学校になります。

ただし、専修学校は高校や大学とは違い、一条校(学校教育法第一条に掲げられている教育施設)ではありません。

 

そして「高専」は「高等専門学校」の略称で、機械・材料系、電気・電子系、情報系、化学・生物系、建設系、建築系、商船系などの学科を有す5年制の一条校です。

 

これらの学校は、その成り立ちや学校区分は異なるものの、「専門性を高める」という教育目的は同じです。専門高校の興味のある方は「高等専修学校」や「高専」についても調べてみてはいかがでしょうか。