小学校では英語必修化

新学習指導要領に基づき、2020年度から小学校における英語必修化がスタートしました。

小学校卒業までに600~700語程度の語彙力の習得が目標として掲げられ、基本的な文法も授業で取り上げられることとなります。

 

これにより、2020年の英語必修化を受けた生徒たちが受験生となる2022年度の中学入試では、英語の扱いが変化する可能性が高いと考えられています。

 

これまでの中学入試の状況

現在の中学入試の主流は、国語・算数・理科・社会の4教科です。一部の中学では、国語と算数の2教科を採用しています。

 

これらの教科に加え、英語を採用する中学校も以前から存在していました。

2021年度の首都圏の中学入試では、143校が英語を入試に採用しています。2014年度の15校からおよそ10倍にまで増加していて、今後も増加傾向は続くでしょう。

 

とはいえ、英語を受験科目に採用していても、従来型の4教科または2教科の入試を選択できる学校が大半で、英語を必須としていたのは首都圏で2校のみです。

そのため、一般的には中学受験において英語対策は必要ないとされてきたのです。

 

 

2022年度からどう変わる?

2020年の英語必修化を経験した生徒が中学受験に臨む2022年度からは、中学入試の英語の扱いが変わる可能性があります。

 

英語を入試問題に加えたり、適性検査という形で採用したりする可能性が高いのは、国立中学や公立中高一貫校です。国公立校は学習指導要領に則って運営される側面が強いため、英語を入試に取り入れる可能性が高いと考えられます。

また、英語教育やグローバル人材の育成に力を入れている私立中学も、積極的に英語を入試に採用する可能性が高いでしょう。

 

ただし、英語の得点のウエイトをどの程度にするかは、各学校の判断に委ねられます。

 

 

英語の出題形式

現在の中学入試における英語の出題形式はさまざまです。

英語4技能と呼ばれる、リーディング・ライティング・リスニング・スピーキングのうち、すべてをバランス良く課す学校もあれば、ライティング中心の学校、リスニングのみを実施する学校、英作文を書かせる学校、英語での面接を実施する学校もあります。

 

志望校が決まっている場合は、受験要項を事前に確認したうえで、対策を行うと良いでしょう。

 

 

英語入試には2種類ある

ひとくちに英語入試といっても、大きく2種類に分けることができます。

1つ目は、一般的な受験生向けの試験です。基本的には小学校で習ってきた内容をベースに出題されます。

2つ目は、帰国子女や英語を得意とする生徒向けの試験で、難易度の高い問題が出題されるものです。両者は全くの別物だという点を知っておく必要があるでしょう。

 

例えば、慶應義塾湘南藤沢中等部の入試は4科目(国語・算数・理科・社会)と3教科(英語・国語・算数)のいずれかを選択できます。共通科目の国語と算数は、同一の試験問題となっています。

 

ここで「理科と社会は苦手だから、英語を選択しよう」と考えるのは早計です。慶應義塾湘南藤沢中等部の英語の試験は帰国子女レベルを対象としていて、最低でも英検準2級相当の英語力と、高校生レベルの文法知識が必要とされています。

インターナショナルスクールや英語教室に通っていたり、海外生活の経験があったりして、英語力に自信のある生徒でない限り、太刀打ちできないでしょう。

 

志望校を選ぶ際や、受験科目を選択する際は、英語の試験がどちらに該当するのか確認しておく必要があります。

 

 

現状では慌てる必要なし

2022年度から、入試で英語を採用する中学校が増える可能性は高いです。しかし、一般の受験生を対象とした英語の試験は、小学校の英語の授業を真剣に取り組んでいれば解答できるレベルになると考えられます。

 

とはいえ、2023年以降は英語の試験の難易度が上がっていく可能性があります。今後も、中学受験の英語の扱いには注目していきましょう。