小学2年生に立ちはだかる壁

かけ算の「九九」は、小学2年生になったら誰もが超えなければならない「壁」です。

九九は算数の基礎中の基礎です。九九が完璧に覚えられないと、わり算をはじめ、この後に習うほとんどの計算問題が解けなくなってしまいます。

 

また九九を覚える段階でつまずいたり、九九に対してマイナスのイメージが植え付けられたりすると、算数そのものに苦手意識が生まれ、「算数嫌い」になってしまう恐れもあります。

ですから、九九でつまずくことは、極力避けなければなりません。

 

小学校低学年の脳はすごい

本来、小学校低学年の子どもの脳は、スポンジにようにあらゆる情報を吸収し記憶できる、素晴らしい能力を持っています。

九九を覚えるのが苦手な子どもでも、好きなアニメのキャラクターは何人も覚えられたり、テレビやYouTubeで聴いた歌をすぐ歌えたりすることがあるはずです。

子どもは、自分が興味を持った対象であれば驚くべき集中力を発揮し、膨大な情報を記憶できる能力を備えています。

 

ですから、九九をなかなか覚えられないからといって、子どもの資質や能力を安易に疑ったり、「なんで覚えられないの?」となじったりするのは避けるべきです。

親からそのような言葉をかけられると、子どもは自信を失い、算数嫌いになりかねません。

 

もし九九が覚えられないのであれば、まずはその原因を探り、適切な対処をする必要があります。

 

 

原因その1「興味・やる気がない」

小学2年生くらいの年代だと、学習の習慣が根付いておらず、興味がゲームやおもちゃなどの遊びに向いているケースが多々あります。

そんな遊び盛りの子どもに、いきなり「九九を覚えましょう」といっても、真剣に取り組まないのは当然です。

 

九九に興味がないため覚える意欲が湧かない場合は、九九をゲームにして親子で遊びながら、徐々に関心を持つよう誘導してあげてください。

 

九九を題材にしたカードゲームやボードゲームはたくさんあります。子どもがスマホを使うのであれば、九九のゲームアプリで遊ばせるのも手です。

歌が好きな子であれば、九九の歌を聴かせてあげるのも有効な手段となります。

 

 

原因その2「聞き取り・発音が苦手」

本人は真剣に取り組んでいるものの、どうしてもつまずいてしまう場合は、音をしっかり聞き取れていない、あるいは正確に発音できていないことが原因かもしれません。

 

小学校低学年の子どもは、「いち」と「しち」などの聞き分けや発音が苦手な場合があります。九九を聞いたり唱えたりするときに、誤って覚えてしまうケースもあるようです。

 

まずはしっかり音を聞き分けできているか、正確に発音できているかをチェックしましょう。そして焦らずゆっくりと九九を唱える練習から始め、完璧に覚えてから徐々にスピードを上げていくことが大切です。

 

 

原因その3「大きな数字が苦手」

五の段までは難なく覚えられたものの、六の段から先がなかなか覚えられないという子も少なくありません。特に七の段以降に苦手意識を持つ子どもは多いです。小学校高学年で七の段以降を完璧に覚えられていない子も一定数いるので、六の段以降でつまずいてしまうのはむしろ普通といえるでしょう。

 

段が上がるにつれて九九が苦手になる原因は、いくつか考えられます。

1つ目は、単純に大きな数字に対して苦手意識を持ってしまっている場合です。

2つ目に、小さい段から順に学習していくので、後半ほど反復練習の回数が減り、記憶が定着しにくいという点も挙げられます。

 

このような場合は「九九表」を使って、苦手な部分を明らかにするのが有効です。

五の段まで完璧に覚えているのであれば、前後をひっくり返して「7×5」「8×4」「9×3」などは答えが出せることを、子どもに伝えてあげましょう。そうすれば、あと覚える必要がある九九は10個しかありません。

 

さらに「6×6」「7×7」「8×8」「9×9」といったゾロ目は覚えやすいことを踏まえると、残りは6個だけです。

 

このように「九九表」を見ながらチェックしていくと、覚えなければいけない九九は意外に少ないことが視覚的に明らかになります。

ゴールが目の前に近づいているとわかれば、くじけかけていた子どものやる気も再燃することでしょう。

 

 

九九は達成感を得られる機会

九九は小学2年生にとっては大きな試練です。しかし、根気よく練習を繰り返せば必ず覚えることができます。

九九は、試練を乗り越えた先にある達成感を味わうことができる貴重な機会でもあります。子どもがくじけそうになった際は、適切なフォローをしてあげましょう。