過去最低の平均点をマーク

2022年1月15日と16日に、2回目となる大学入学共通テストが実施されました。

今回の共通テストは全体的に問題が難化傾向となりましたが、とりわけ「数学の難易度が高すぎた」との声が噴出し、話題となっています。

 

平均点の最終集計の結果、数学Iは21.89点、数学IAは37.96点となり、センター試験を含めた過去最低の平均点となりました。

 

受験生らの反応

数学の共通テストを受けた受験生からは、「時間が足りなすぎた」「あのような問題はどうなのか?」「会場で泣いている人がいた」などの意見があふれていたようです。

 

教員や予備校関係者からも「難しすぎる」「時間内に解くのは困難」という指摘が見られ、作問者に対する批難の声や、共通テストのあり方に疑問が呈される事態となっています。

 

 

共通テスト難化の原因

数学だけでなく、日本史Bや生物基礎、化学、生物、フランス語の平均点も歴代最低と、今回の共通テストは難易度の上昇が目立ちました。その原因に挙げられているのが、文部科学省が推し進めている「大学入試改革」です。

 

文部科学省は、昨今の国際化や情報化の急速な発展を受け、社会で自立的に活動するために必要な「学力の3要素」をバランス良く育むことを命題に掲げています。学力の3要素とは「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」のことです。※1

大学入試改革では、受験生の学力の3要素について、多面的・総合的に評価する入試に転換するとしています。

 

これにより、思考力や日常の課題を解決する能力を問う、長い文章を読ませる問題や会話形式の問題が増えた結果、文章中から情報を読み解くのに苦戦した受験生が多かったようです。

 

※1 出典:文部科学省「大学入試改革の状況について』より

https://www.mext.go.jp/content/20200124-mxt_sigsanji-1411620_00002_002.pdf

 

 

今回の出題傾向その1「日常の課題」

今回の共通テストの数学では、山頂を見上げた際の角度に関する問題や、移動と停止を繰り返す歩行者と自転車の位置関係など、日常の課題を数学的に考察し、解決する問題が特徴的でした。

 

このような問題を教科書による勉強だけで解くのは難しいです。普段から数学を日常生活に落とし込んで考えてみる、模擬試験や教材などで慣れておくといった対策が必要になります。

 

 

今回の出題傾向その2「会話形式」

登場人物による会話形式の問題や、長文から情報を読み取り解答する類の問題も、今回の共通テストの特徴です。

会話や長文の中から、解答に必要な情報をすばやく抽出できるかどうかが鍵となります。

 

問題を読み解くのに時間がかかりタイムオーバーとなった受験生も多かったようですが、この出題傾向は今後も続くと見られています。

 

日常の課題と同様に、模擬試験や教材などで練習しておきましょう。

 

 

今回の出題傾向その3「基礎的な計算力」

上記のような応用問題だけでなく、基礎的な計算力が求められる問題も出題されました。

定理や公式を正確に理解したうえで、計算問題を繰り返し練習しておく必要があります。

 

基礎を固めておくことは、日常の課題に関する問題や、会話形式の問題を解く際にも役立つため、数学で高得点を狙うために重要です。

 

 

来年の共通テストはどうなる?

今回、数学の平均点が過去最低となったことを受け、来年の共通テストでは何らかの方向転換や軌道修正が行われる可能性もあります。共通テストという性質上、受験生の学力を適切に測るには、平均点は適度な水準を保つ必要があるからです。

 

また、共通テストは基礎的な学力が測定できれば良く、応用力や多面的な能力は各大学が実施する二次試験で計測すれば良いのではないかといった意見もあります。

 

とはいえ、共通テストは根本に「大学入試改革」の考え方が反映されているものです。出題傾向が劇的に変わることは考えにくく、引き続き日常の課題に関する問題や、会話形式の問題が出題される可能性は高いです。

 

今回の出題傾向をしっかり踏まえ、万全の準備をしておきましょう。