子どもの読解力低下が深刻に

近年、子どもの読解力低下が大きな問題になっています。

国際的な学力調査では、日本の子どもは数学と科学こそ高水準に達しているものの、読解力は低いという結果が見られました。

 

教育現場からも生徒の読解力低下は指摘されていて、「教科書の内容を正確に読み取れない」「主語・述語・目的語がわからない」「何が大事か読み取れない」など、その深刻さが窺えます。

 

国語力が重要なワケ

「学力向上のカギは国語力にある」「国語はすべての教科の基本」など、国語の重要性を指摘する言葉は数多く見られますが、それはなぜでしょうか。

 

人間が脳で物事を考えるときに使用するのは「言葉」です。つまり、思考力は知っている言葉の量に左右されます。

教科書や参考書に書かれた文章を正確に読み解き、内容を理解するには国語力が必要です。また、設問を正しく読み解き問題の意図を掴むためにも、国語力は欠かせません。

 

国語力を強化すれば、すべての教科の点数を底上げできる可能性があるといえます。

 

 

国語力とは何か?

国語力を鍛える前に、そもそも国語力とは何かを整理しておきましょう。

国語力とは、語彙力や文法力、読解力、記述力、要約力、共感力など、複数の要素が組み合わさって構成されるものです。

 

語彙力は「単語の意味を知り、使える能力」で、国語力の基礎となります。多くの単語の意味を知っているほど読解力は上がり、反対に知らない単語が多ければ文章は理解しにくくなります。

 

文法力は、主語と述語の判別や、動詞・形容詞・形容動詞、掛かり関係の理解などができる能力です。文法の知識に乏しいと、文章の内容が正確に理解できない、不自然な日本語を書いてしまうといったことにつながります。

 

読解力は、文章の意味や意図を正しく理解する能力です。文章中のテーマや主張、意見、根拠、例示、引用などを区別する能力や、文章全体の論理の流れを把握する能力も含まれます。

 

記述力は、文章を正しい文法で、相手に読みやすく、論理的に書く能力です。

 

要約力は、文章中のキーワードを見つけ、短い文章にまとめる能力です。文章を正しく要約するためには、文章を深く読み込む読解力も求められます。

 

共感力は、小説や物語などの登場人物の感情を類推する能力です。

 

ひとくちに国語力といっても、多くの能力が複合的に関わっていることがわかります。国語が苦手な方は、どの能力が不足しているかを自己分析し、効率的に対策することが大切です。

 

 

国語力を伸ばす方法

国語力を伸ばすには、語彙力や文法力、読解力、記述力、要約力、共感力をまんべんなく強化していく必要があります。効率の良い勉強法はあるのでしょうか?

 

まず強化しなければならないのは、国語力の基礎ともいえる語彙力です。

語彙力を高めるためには、意味のわからない言葉に出会ったら、すぐ辞書で調べるクセをつけるのがおすすめです。読書中はもちろん、テレビやネットを見ているとき、街を歩いているときなど、生活の中で新しい単語に出会ったら、辞書を引いて調べてみてください。

 

また、言葉は実際に使うことで記憶に残ります。新しく覚えた言葉を日常会話や日記で使い、積極的なアウトプットを心がけることも大切です。日記を書く習慣は、記述力の強化にもつながります。

 

文法力は練習問題を何度も解き、正しい文法の知識を身に付けるのが近道ですが、読書量が多い人は感覚的に正しい文法がわかってきます。

文法力は記述力にも影響するので、決しておろそかにせず、着実に習得していきましょう。

 

読解力と要約力は同時に強化すると、効率的に国語力を鍛えられます。ひとつの長文を何度も音読して、内容を要約する方法がおすすめです。キーワードに印をつけて要点や主張を拾い、短い文章に要約する練習をしましょう。音読と要約を繰り返せば、要約力とともに、文章の流れを理解する読解力も身に付きます。

 

共感力を鍛えるには、さまざまなジャンルの本を読むことが大切です。小説や物語だけでなく、伝記や旅行記など、興味のあるジャンルの本から始めてみましょう。

 

国語力は、基本的には読書量に比例します。読書が好きになれば国語力が自然と上がり、国語も好きになるはずです。