全国の私立中学への進学率は約7.6%

子どもの中学校進学にあたって「私立か公立か?」という選択で悩んでいる方は少なくないでしょう。

文部科学省の「令和3年度学校基本調査(確定値)の公表について」によると、全国の中学校在籍者数の合計は3,229,698人で、うち私立中学校は245,245人、公立中学校は2,957,186人、国立中学校は27,267人でした。割合にして約7.6%の学生が私立中学校に在籍しているということになります。※1

 

※1 出典:文部科学省「令和3年度学校基本調査(確定値)報道発表資料」より

https://www.mext.go.jp/content/20211222-mxt_chousa01-000019664-1.pdf

 

学費の違い

私立中学校と公立中学校を比較したときに、大きく異なるのが学費です。

文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査の結果について」によると、1年間の学習費総額は次のようになっています。

 

・公立中学校  488,397円

・私立中学校 1,406,433円 ※2

 

差額は1年間で約92万円、3年間で約275万円となります。

ちなみに学習費総額とは、学校教育費(授業料や入学金、学用品費、通学用品費など)、学校給食費、学校外活動費(参考書購入費や学習塾、家庭教師、習い事など)をすべて含めた子どもの教育に関わる支出の総額です。

 

子どもを私立中学に通わせる場合、約275万円の金額差をどう考えるかにかかってくるでしょう。

 

※2 出典:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」より

https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_01.pdf

 

 

高校受験や大学受験の違い

私立中学校は多くが中高一貫なので、高校受験はないことがほとんどです。

大学附属校であれば、一定の条件を満たせば大学まで進学できるため、受験の心配が少ないという大きなメリットがあります。海外留学や課外活動など、子どもが打ち込みたいことに集中できるでしょう。

 

また、大学附属校でない場合も、私立の進学校はハイレベルな授業を行っています。授業の進み方が早く勉強が大変という一面もありますが、その後の受験では有利になるはずです。

 

 

設備や教育環境の違い

私立中学校は公立中学校と比べて図書館や体育館、食堂、PC教室などの各設備が充実している場合が多いです。恵まれた環境で学校生活を送ることができます。

 

独自の教育カリキュラムを組んだ私立中学校なら、各学校の方針に沿った教育が受けられます。学校の教育方針に賛同しているのであれば、メリットは大きいといえるでしょう。

 

また、コロナ禍で浮き彫りになった「オンライン授業」の格差も見逃せないポイントです。

公立中学校がオンライン対応に苦戦する中、多くの私立中学校は迅速なオンライン授業化が目立ちました。公立中学校に対して、不信感を抱く保護者も少なからずいたようです。

 

 

通う生徒の違い

公立中学校は近隣の生徒が入学してくるので、小学校からの顔なじみも多く、環境に馴染みやすいというメリットがあります。

また、私立中学と比較すると多様性のある生徒が集まるのも魅力のひとつです。社会性や処世術を学ぶことができ、私立中学校よりも「たくましさ」が身につくといわれています。

 

一方で、私立中学校は受験で線引きされた生徒たちが集まります。高い学習意欲を持った友人を作ることができますが、小学校時代の友達がほとんどいない新しい環境で、いちから人間関係を構築しなければいけません。

 

 

通学手段の違い

自宅の近所にある公立中学校であれば、徒歩や自転車で通学できます。私立中学校に入学した場合、多くの方は公共交通機関を使って通学することになるはずです。

あまり遠い学校を選んでしまうと、3年間苦労することになりかねず、安全面の観点でも不安が残ります。子どもへの負担を考慮すると、通学時間は遠くても片道1時間圏内が現実的です。

 

 

子どもにとって最適な選択を

私立中学校を目指すのであれば、早い段階から進学塾に通うなどの準備が必要で、子どもにとっては大きな負担となります。

 

年齢的に本人の意志だけで進路を決めることが難しく、親の意向が色濃く出るのが中学受験です。

親の希望を一方的に押し付けることのないよう、子どもとじっくり話し合って進路を決めるようにしましょう。

 

また、私立中学校にも公立中学校にもそれぞれ良いところと悪いところがあり、どちらかが優れているというものではありません。子どもの性格や資質に合った選択をすることが、何よりも大切です。