子どものワーキングメモリを鍛えよう

「自分の子どもは少しでも賢く育ってほしい」と考えている親御さんは多いはずです。そのような方は、ワーキングメモリを鍛える方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

「いわれたことをすぐに忘れてしまう」「計算が苦手」といったお子さんも、ワーキングメモリを鍛えることで解決につながる可能性があります。

 

ワーキングメモリとは?

ワーキングメモリとは、作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力のことです。

先生の指示を聞いて行動する、暗算する、板書するといった行動を取る際にも使われていて、以下の4つの要素から構成されています。

 

・音情報の記憶(音韻ループ)

・視覚情報の記憶(視空間スケッチパッド)

・音と映像の記憶(エピソードバッファ)

・それぞれに指示を出す機能(中央実行系)

 

会話や読み書きなど、日常生活の多くの行動に関わる一方で、ワーキングメモリの機能は個人差が大きいです。一度にたくさんの情報を上手に処理できる人もいれば、処理できる情報量が少ない人もいます。

2つ以上の物事を同時に処理するのが難しい場合は、ワーキングメモリが鍛えられていない可能性があります。

 

 

ワーキングメモリを鍛えるメリット

ワーキングメモリは、鍛えることでさまざまなメリットを得られます。

 

1つ目のメリットが、複雑な計算や文章読解ができるようになる点です。複雑な計算を解いたり、文章を読んだりする際は、複数の計算を組み合わせて活用したり、直前の文章を理解したりする必要があります。

それらの能力を発揮する際に、ワーキングメモリの能力が生かされます。

 

2つ目のメリットが、記憶力の向上です。ワーキングメモリが鍛えられていないと、指示を受けても一度に覚えきることができません。ワーキングメモリを鍛えれば一度に覚える量が増えるので、結果として記憶力の向上につながります。

 

3つ目のメリットが、マルチタスク能力が向上する点です。ワーキングメモリを増やせば、「タスクを覚えておく」「優先順位をつける」といったことがスムーズに行われます。

さまざまなことを同時に、効率良く作業できるようになるでしょう。

 

 

ワーキングメモリの鍛え方1「デュアルタスクを行う」

デュアルタスクとは、2つの物事を同時に行うことです。2つの動作をする際に情報を整理する必要があるので、ワーキングメモリを鍛えられるといわれています。

歩きながらしりとりを行う、メモを取りながら会話するなどが、デュアルタスクの一例です。

サッカーやバスケットボール、鬼ごっこなど、頭で考えながら体を動かす外遊びを行うのも良いでしょう。

 

また、後出しじゃんけんや、逆さ言葉を当てるクイズといった屋内で遊べる方法でも、ワーキングメモリを鍛えることは可能です。

子どもが飽きを感じないように、さまざまな方法を取り入れることをおすすめします。

 

 

ワーキングメモリの鍛え方2「睡眠時間をしっかり取る」

睡眠時間が短すぎると、脳の働きが悪くなり、ワーキングメモリも低下します。適切な睡眠も、ワーキングメモリを鍛えるうえでは重要です。

必要な睡眠時間は年齢や個人差も大きいですが、子どもを夜更かしさせるのは避け、睡眠時間をしっかり確保することを心がけましょう。

 

 

ワーキングメモリの鍛え方3「絵本の読み聞かせを行う」

絵本の読み聞かせも、有効なワーキングメモリの鍛え方のひとつです。絵本の読み聞かせでは、読み手の声を聞きながら絵本のイラストを見たうえで、それらの情報を処理しなければいけません。

 

また、音や映像を処理することに加えて、情報を映像化して記憶する能力を鍛えることにもつながります。

ワーキングメモリの要素をすべて使うので、効率的なトレーニングになるでしょう。

 

ワーキングメモリは、日常生活を送るうえで欠かせない脳力です。幼少期のトレーニングでワーキングメモリを増やせるといわれているので、ぜひご紹介した方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

ただし、日常生活の中でもワーキングメモリを鍛えることはできます。子どもが嫌がる方法で、無理に鍛えようとするのは避けることも大切です。