GoogleやDisneyの附属幼稚園でも採用

世界的に評価の高い幼児教育といえば、「モンテッソーリ教育」や「シュタイナー教育」などが挙げられます。その中でも、近年GoogleやDisneyといった一流企業の社員向けの附属幼稚園で採用され、注目を集めているのが「レッジョ・エミリア教育」です。

日本でも、徐々に採用する幼稚園や保育施設が増えています。

 

「レッジョ・エミリア教育」とは?

レッジョ・エミリア教育は、1960年代に北イタリアの小都市、レッジョ・エミリアで誕生した幼児教育法です。教育家のローリス・マラグッツィが、立役者として知られています。

 

第二次世界大戦直後、戦争の被害を受けたレッジョ・エミリアは、レンガや石を集めたり、戦車などを売ったりして資金を作り、学校の建設を始めました。

子どもの教育に力を注ぐ街の風潮に感銘を受けたのがマラグッツィです。彼はローマで教育心理学を学んだ後にレッジョ・エミリアへ戻り、公立の幼児教育施設の設立に尽力します。

 

その後も、マラグッツィは市と協力して多くの公立教育施設の設立に携わります。これらの施設で行われていた教育法がレッジョ・エミリア教育と総称され、世界中に広まっていったのです。

 

 

レッジョ・エミリア教育の教育理念

レッジョ・エミリア教育では、「社会性」「時間」「子どもの権利」という3つの教育理念を掲げています。

 

社会性は、子どもの社会性を育むために4~5名からなるチームを作り、様々な活動を行うことを示しています。

時間は、時間割やカリキュラムを一切決めず、子どもたちのペースで長期的なテーマにチャレンジしていくことです。

子どもの権利は、子どもが本来持っている特性を否定せずにすべて受け入れ、子どもの権利を尊重することを指します。

 

 

特徴その1「プロジェクト」

レッジョ・エミリア教育では3つの教育理念を実現するために、「プロジェクト」という特徴的な実践方法が採用されています。

 

プロジェクトでは、児童4~5名によるチームを構成し、子ども同士で話し合いや議論を交わすことで、テーマを掘り下げていきます。長いケースでは1年間にも及ぶ期間、ひとつのテーマを掘り下げる活動が行われるようです。

 

また、子ども同士の議論が円滑に進むように、先生だけでなく保護者や地域の大人達も、見守ったり寄り添ったりする形でプロジェクトに参加します。

 

 

特徴その2「ドキュメンテーション」

プロジェクトを通じて子どもたちが活動する様子は、文字や写真、音声、動画などで記録します。これがレッジョ・エミリア教育の2つ目の特徴である「ドキュメンテーション」です。

記録したデータはパネルとしてまとめられ、皆の目に留まる場所に展示されます。

 

ドキュメンテーションの目的は、子ども達が自身の活動を振り返り、次の活動にいかすことです。

単なる結果報告ではなく、あくまでも「子ども達による探究活動のプロセス」を記録することを主眼に置いています。

 

 

特徴その3「専門教師の配置」

レッジョ・エミリア教育の3つ目の特徴は、「アトリエスタ」や「ペダゴジスタ」と呼ばれる専門教師を配置していることです。

 

アトリエスタは、美術専門の教師のことで、各園に1名配置されます。プロジェクト活動の支援やドキュメンテーションの作成に携わります。

 

ペダゴジスタは教育学の専門家です。アトリエスタとは異なり、複数の施設を担当します。週1回程度園を訪問したうえで、先生やアトリエスタと会議をしたり、教育や運営面のアドバイスを行ったりしています。

 

 

子どもを尊重するから個性が育つ

このように、子どもの権利を尊重して、自主性を大切にするのがレッジョ・エミリア教育の特徴です。子どもを1人の人間としてみなし、敬意を払って接するからこそ、子どもは本来持っている自身の特性を発揮し、強みを伸ばすことができます。

 

日本ではまだ知名度の低いレッジョ・エミリア教育ですが、取り入れている幼稚園や保育園は少しずつ増えています。興味のある方は調べてみてはいかがでしょうか。