子どもにあげる「ごほうび」は逆効果? やる気を引き出す正しい方法
子どものやる気を引き出すにはどうする?
「子どものやる気を引き出したい……」といった悩みは、多くの保護者が抱えているのではないでしょうか。勉強はもちろん、習い事や運動など、あらゆる物事に本気で取り組んで欲しいと願うのは、保護者にとって当然の感情です。
子どものやる気を引き出すには、どうすれば良いのでしょうか。
やる気を引き出すために知っておきたいモチベーションの種類
子どものやる気を引き出すために知っておくと便利なのが、モチベーションの種類です。
1つ目が「外発的動機付け」と呼ばれるモチベーションです。外部から与えられる動機付けのことで、懲罰を与えられる、報酬をもらえる、褒めてもらえるなどが該当します。
自分ではなく、第三者の手によって何かしらの報酬や罰が与えられるパターンです。
2つ目が「内発的動機付け」と呼ばれるものです。物事に対する好奇心や向上心、個人的な満足感など、あくまでも自分自身の欲求によってモチベーションが発生します。
自分で決めた目標を達成したい、勉強して多くの物事を知りたいなど、自分自身の内側から湧き出る意欲が例です。
子どものやる気を引き出したり、クリエイティブな思考を鍛えたりするには、内発的動機付けを重視する必要があります。
「ごほうび」をあげるのは実は逆効果?
子どものやる気を引き出すために「成績が良かったらゲームを買ってあげる」などと「ごほうび」を与えたことがある方は多いかもしれません。
成績などに応じてごほうびをあげる方法は、外発的動機付けにあたります。
一見すると効果的に見える「ごほうび」ですが、実はやる気を下げてしまうとされています。
とある実験では、学生を2つのグループに分けて、次のような3つのセッションを行いました。
第1セッション:2つのグループにパズルを解いてもらう
第2セッション:片方のグループはパズルを解く度に報酬を与える。もう片方のグループには何も与えない
第3セッション:2グループとも報酬なしでパズルを解いてもらう
実験の結果、第3セッションは報酬をもらわなかったグループに比べて、報酬をもらったグループの方がパズルに触れる時間が短くなりました。
「パズルは報酬を得るために行うこと」と外的動機付けが行われた結果、モチベーションが低下してしまったのです。
別の実験では、報酬をもらえるグループの方が問題を解くのにかかる時間が増えるという結果も出ています。
外的な動機付けが、やる気の向上にはつながらないことがよくわかる一例です。
子どもの「やる気」を引き出すには「過程を褒める」ことが大切
子どものやる気を引き出すには、言葉で褒めることが大切です。この時、成績(結果)ではなく本人の努力(過程)を褒めるようにしましょう。過程を褒めることで、子どもの内発的動機付けを強める効果が期待できます。
結果が出なくても挑戦を続ける根性を養うことにもつながるはずです。
また、叱ったり、罰を与えたりすることは避けてください。失敗することへの恐怖心や不安感が強くなり、挑戦を避けるようになってしまいます。
簡単な目標を設定しよう
子どもに成功体験をたくさん持たせることも、やる気の向上につながります。さまざまな目標を立ててみるのも有効です。
目標を立てる時は、できるだけ簡単に達成できることにしましょう。あまりにも難易度が高い目標や、1年に1回しか達成のチャンスがない目標だと、成功体験を得られないため、逆効果になる可能性があります。
これまでごほうびを上げることで子どものやる気を促していた方は、今回ご紹介した内容を、ぜひ参考にしてみてください。
ただし、ごほうびが絶対に不要なわけではありません。例えば、勉強をやる気がそもそもない子どもに対して、ごほうびで勉強に対する動機付けを行うのは、やる気アップにつながる可能性があります。
子どもの状況を見ながら、適切にサポートをしてあげることが大切です。