「伝統」「入試方式」「費用」……国立大学、人気の理由
意外とたくさんある国立大学多くの大学受験生が目標とする国立大学。日本に全部でいくつあるか知っていますか?正解は86校(2013年現在。北海道・東北14、関東・甲信越26、東海・北陸・近畿25、中国・四国10、九州・沖縄11)。意外と多いです。しかしこの中には、大学院のみの大学院大学が4校、さらに視覚・聴覚障害者のための筑波技術大があるので、一般に大学入試で対象になる大学は、もう少し少なくなります。国立大学の歴史国立大学の歴史は1886年に東京大学が設立されたことにさかのぼります。いったん「帝国大学」と改称。その後1897年に京都帝国大学が設立されると、帝国大学は東京帝国大学となりました。そして戦前には東北・九州・北海道・大阪・名古屋(設立順)にも帝国大学を設置。これら7校は戦後に新制大学となって名前を改め、東京大・京都大・東北大・九州大・北海道大・大阪大・名古屋大となりました。現在この7大学は「旧帝大」と呼ばれ、いずれも難関大学として名をはせています。一方、それ以外の国立大学の多くは戦前の高等学校や師範学校(教員養成校)などを起源としています。基本的には各県に1校ずつ総合大学が設立されましたが、後に単科大学の形で設立されたものも多くあります。また一橋大・神戸大・公立の大阪市立大は戦前の商科大学が起源です。そのためこれらの大学は商学部・経済学部・経営学部といった商業系の学部に強みを持っています。どうして国立大学は難関となるのか国立大学といえば「狭き門」というイメージがあります。実際、私立大学に比べれば圧倒的に定員も少ないのですが、国立大学が「狭き門」になっている理由は他にもあります。第一に、入試方式の問題があります。センター試験では一部の例外を除き5~6教科7科目が必要となる上、二次試験でさらに中身の濃い問題が出されます。2~3教科に絞れる私立大学と比べれば負担の多さは歴然としています。難易度の面でも、センター試験は得点率70%以上、難関大学となると80%を軽く超える得点率が求められ、センター試験の結果が振るわなかった場合は、その時点で合格が難しくなってしまいます。また、国立大学の一般入試は前期・後期日程の2回しか受けられず、しかも前期日程で合格して入学手続きをすると後期日程は受験しても無効となるため、国立大学どうしの併願はできません。そして近年長く続いた不景気の影響で、受験生の間に学費の安い国公立大学志向が定着したことも大きいです。特に地方ではその傾向が強く、国立大学は各県の最難関として県内の高校生の目標となっています。あこがれの国立大学、合格するためには?国立大学に合格するには、上に述べたような難関をくぐり抜けなければなりません。「絶対に国立大学に行きたい!」と考えている人は、まずセンター試験で必要となる科目をまんべんなく勉強し、得点率を高めていかねばなりません。科目数が多いため、短期間での詰め込みは困難です。高2までにしっかりと各科目の基礎を作っておくことが何より重要といえるでしょう。そして、二次試験で必要となる科目は記述式での解答がきちんとできるよう、早いうちから「整った答案」を作る練習をしておくべきです。いずれも大変な道のりですが、多くの受験生が目指す国立大学合格を実現するには、何よりも「人より先に」受験勉強を始める姿勢が求められるといえるでしょう。