地歴3科目、自分に合うのは日本史? 世界史? それとも地理?
『地理・歴史』の科目選択は悩みのタネ
文系選択者にとって『地理・歴史』は大学入試で主要科目ですが、文系を選択する高校生の中には、『地理・歴史』の科目選択で迷う人が少なからずいます。そこで今回は、文系選択者にとって重要な『地理・歴史』の選択について探っていきたいと思います。
日本史B・世界史B・地理B、選択のポイントは?
文系選択者は通常『地理・歴史』の2科目を学びますが、そのうち1科目をB科目、もう1科目をA科目として履修します。もちろん、B科目のほうがメインの科目になります。
ちなみにA科目については、学習指導要領上、世界史A・Bのいずれかが選択必修科目とされているので、世界史Aを学ぶ場合が多いようです。
つまり、文系にとって重要なのは、日本史・世界史・地理のどれをB科目として履修するかということになります。ここで、科目選択上のポイントをいくつか挙げてみます。
1.興味を持てる分野はあるか?
日本史B・世界史B・地理Bはいずれも相当な量の学習を求められます。しかも、中学校までにありがちな暗記中心の勉強では太刀打ちできず、事項どうしの関連や年代ごとの変化などを系統立てて理解していく必要があります。
そこで重要なのは、興味を持てるかどうかです。「戦国時代が好き」とか「アメリカに興味がある」など、地理・歴史に関して興味・関心のわく分野があるか考えてみましょう。興味があってやる気を持てる科目のほうが、勉強していて楽しいですし、点数も伸びやすくなります。
そして、学問としての性質の違いにも注目しましょう。地理では、他の2科目に比べデータが重視されます。つまり、知識重視の日本史・世界史に比べ、思考力・分析力が重要だといえます。事実、理系では地理が選択される場合がほとんどです。文系志望者でも、数学が苦手ではない生徒にとっては地理のほうが合っているかもしれません。
2.志望学部・学科に関連する内容か?
志望学部・学科が決まっている人は、それとのからみで考えるのも重要です。大学で地理・歴史を専攻したい人はもちろんですが、それ以外でも科目選択に注意が必要な場合があります。
たとえば、国際系の学部・学科を希望する場合、日本史もしくは世界史が必須科目になっていることがあります。異文化交流には、その国の歴史的背景を知っておくことや、自分たちが暮らす日本の歴史を知っておく必要があるからです。
科目選択の前には、志望学部・学科の入試要項を見て、必須科目が決まっていないかチェックしておくことをおすすめします。
3.点数のとりやすさはどうか?
文系の国公立大学受験生にとっては、『地理・歴史』は主にセンター試験での重要科目です。理科が二次試験で当たり前のように出題される理系と異なり、文系学部の二次試験で『地理・歴史』が出題されるのはごく一部の学部・学科にとどまります。
そこで、センター試験で点数を取れるかどうかが重要なポイントになります。
近年、日本史B・世界史B・地理Bの3科目は、年によって変動はあるものの、センター試験での平均点にあまり大きな差はありません。ただ、地理と日本史・世界史の性質的違いには注意が必要です。
知識重視の日本史B・世界史Bでは、ある程度勉強を積み、教科書の内容をひと通り頭に入れれば、安定して高い点数を出せるようになります。それに対し地理Bは、知識だけでは対処できない問題の割合が高いという特徴があり、あまり勉強していない受験生でもその場で答えを出せる問題がある一方で、国語と並んで満点に近い点数を出すのが非常に難しい科目といわれています。
そのため、高得点を狙わなくてはならない難関国公立大学志望者にとっては、文系での地理B選択はリスクが高い選択といえるかもしれません。逆に、それ以外の人にとっては、難易度の差に一喜一憂するより、真剣に勉強する気になれる科目を選択するほうが重要といえます。
4.日本史と世界史の違いは?
日本史と世界史の違いはどうでしょうか。
日本史は日本1国の歴史が軸となるのに対し、世界史は数多くの国の歴史を並行して勉強していく必要があり、しばしば受験生を混乱させます。また、日本史用語には漢字が多いのに対し、世界史用語の多くは外国語に由来するカタカナ語です。帰国子女など漢字に不安がある生徒にとっては世界史のほうがとっつきやすいでしょうが、逆に外国に行ったこともなく、英語も得意ではないという人は日本史のほうが勉強しやすいかもしれません。
正解は1つではないけれど……
日本史・世界史・地理の選択には、他にもいろいろな要素がからむので、「これが正解!」と1つに決めるのは簡単ではありません。しかし、あわてて決めず、上記のポイントにそって考えてみることで、結論を出しやすくなるのではないでしょうか。周囲のアドバイスなども参考にしながら、自分にとってのベストアンサーを探してみてください!