テストに出る! 日常会話で使える! 知っておくと役立つ故事成語 『三国志』編(1)
さまざまな場面で役立つ故事成語
『故事成語』を知っていますか? 歴史上の出来事(故事)、特に中国の故事に由来する言葉のことです。故事成語は、知っておくと定期テストや入試で役立つだけでなく、日常会話にも応用できます。今回は、そんな故事成語の中から、根強いファンを持つ『三国志』に由来するものを集めてみました。
・三顧(さんこ)の礼
『三国志』の主人公の一人、劉備が戦略を立てて戦いを勝利に導く軍師を探していたときのことです。その中で出会った徐庶から有能な人物の話を聞いた劉備は、さっそく自ら訪ねて行きますが、なかなか会ってもらえず、三度目の訪問でやっと会うことができました。
この人物こそ、劉備の軍師として名高い諸葛亮(しょかつりょう)孔明(こうめい)です。そして、このエピソードから生まれた故事成語が『三顧の礼』です。現在は、『目上の人が、能力のある人を迎え入れるために礼を尽くして頼み込む』というような意味で用いられています。
・水魚の交わり
これも劉備と諸葛亮の関係から生まれた故事成語です。何かにつけて諸葛亮に教えを乞うようになった劉備ですが、劉備と義兄弟の誓いを結び、常に支えてきた関羽(かんう)と張飛(ちょうひ)にとっては自分たちがないがしろにされているようでおもしろくありません。
そこで不満を述べる二人に対して劉備は「私が孔明を得たのは、ちょうど魚が水を得たのと同じだ」と説明し、二人を諭しました。この故事から、『水魚の交わり』は『親密で離れがたい友情や交際のたとえ』(『広辞苑』)として用いられています。
・男子三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ
もとは『士別れて三日なれば、即(すなわ)ち更に刮目して相待(あいたい)すべし』ですが、日本では『男子三日会わざれば刮目して見よ』と言われることが多いようです。
三国の一つ、呉の武将・呂蒙(りょもう)は、武勇には優れていたものの、学問の面ではさっぱりという武将でした。しかしあるとき、主君である孫権(そんけん)に諭されて学問を志すようになり、やがて武勇だけでなく知謀も備えた武将へと成長しました。
そこで、昔の呂蒙を知る魯粛(ろしゅく)が「呉下(ごか)の阿蒙(あもう)に非(あら)ず」、つまり「昔の蒙ちゃんとは違うのだなあ」と感嘆したことに対して呂蒙が返した言葉が「士別れて三日なれば、即ち更に刮目して相待すべし」です。人間、別れて三日もすれば成長しているはずですから、次に会うときには刮目して、つまり目をこすってよく見ないといけないというわけです。
先生にこう言われるよう、学校が休みの期間にしっかり勉強して、休み明けの授業では見違えるような姿を見せたいものですね。