テストに出る! 日常会話で使える! 知っておくと役立つ故事成語 『春秋・戦国時代』編
春秋・戦国時代の故事を知り、故事成語を使いこなそう
定期テストや入試に出題されるだけでなく、覚えておくと日常会話でも使える故事成語。前回までの『三国志』編に引き続き、今回は春秋・戦国時代の故事からご紹介します。
春秋・戦国時代は多くの故事成語を生んだ時代ですが、よく目にする言葉でも、意味や元になった故事までは知らないという人も多いのではないでしょうか。元になったエピソードを知り、故事成語を理解して使いこなせるようになりましょう!
・臥薪嘗胆(がしんしょうたん)
春秋時代呉(ご)のの夫差(ふさ)は、敵対する越(えつ)との戦いで討たれた父・闔閭(こうりょ)の後を継いで呉王となりました。夫差は、毎晩薪を敷いてその上に寝ることで、その痛みで越王・勾践(こうせん)に対する復讐心を忘れないよう努めました。これが『臥薪』です。
その後、呉と越の間で戦いが起こります。呉が越を破り、越王・勾践は呉に捕らえられました。しかし、勾践は呉の重臣にわいろを贈っていて、その重臣の言葉により、夫差は勾践を殺さずに帰しました。帰国後、勾践は部屋に胆をつるして嘗(な)め、その苦さで自分が受けた屈辱を忘れないようにしました。これが『嘗胆』です。
『臥薪嘗胆』はこれらの故事から生まれた故事成語です。日本では、日清戦争後に三国干渉を仕掛けたロシアに対する国民の気持ちを表す言葉として流行しました。
・鶏口牛後(けいこうぎゅうご)、合従連衡(がっしょうれんこう)
戦国時代の蘇秦(そしん)が説いた言葉が元になった故事成語です。蘇秦は、大国である秦以外の6カ国を周り、各国の王を説得して秦に対抗する同盟をつくりあげようとしました。これが世に言う『合従』策です。そして、その時にたとえとして出したのが『むしろ鶏口となるも、牛後となるなかれ』すなわち『牛後=大国の臣下となるぐらいなら、鶏口=小国の王となるほうがよい』という話です。
この後、蘇秦は6カ国の同盟を成立させますが、対する秦は、蘇秦の学友にしてライバルだった張儀(ちょうぎ)が6カ国中の1カ国ずつと個別に同盟を結んで6カ国の同盟を崩壊させる『連衡』策をとり、『合従』策を打ち破りました。ここから、利害得失に応じて国や組織などが結びついたり離れたりを繰り返す『合従連衡』という故事成語が生まれています。
・完璧
よく使われる『完璧』という言葉も故事成語です。『和氏(かし)の璧(へき)』という、美しいことで知られる玉(=璧)が趙(ちょう)の恵文(けいぶん)王に伝わっていました。大国の秦の王がこれを欲しがり、秦の15城と交換に璧をくれないかと恵文王に持ちかけます。半信半疑の恵文王は、藺相如(りんしょうにょ)に璧を持たせて秦に送ります。
このとき藺相如は、『璧を完(まっと)うする』=『璧に傷をつけずに持ち帰る』ことを約束し、秦との交渉に臨みます。しかし、秦には15城を渡す気がなく、藺相如は危うく殺されそうになりますが死を覚悟して交渉に臨み、璧を傷つけることなく持ち帰ることができました。
このエピソードから生まれた故事成語が『完璧』です。現代でもよく使う『完璧』という言葉には、このような背景があったのですね。